いわき震災通信【第52号】
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2012年12月21日 12:14
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【12月21日号】
皆様、 前号から瞬く間にひと月が過ぎてしまいました。 年の瀬も最終コーナーを曲がり終え、慌しさの度合いも日を追って加速していくようです。 そんな中、先日の衆院選挙の結果を引きずっているのは、私一人ではないようで、先日いわきで催されたちょっとした集まりの席上でも、話題の中心は選挙結果でした。 「福島で、どの選挙区でも原発問題に対して最も寛容な態度を示した政党が勝っていたのを見て、福島の人たちは現状をどう考えているのか分からなくなった。」と、震災後首都圏からいわきの復興のためにと何度もボランティアとして足を運んでくれている青年が口火を切りました。 その場に居合わせた多くの人が頷き、あとに続きました。 出口調査の結果として、候補者選びの最重要ポイントは「雇用と経済」であり、原発問題はずっと下位になっていると報じられていました。 しかし、心のどこかで、福島にだけは別の選択基準があると信じていたのは、私だけではなかったようです。 「福島を案じ、福島に心を寄せてくれている多くの人たちが、裏切られたと感じることがなければいいけれど…。」私の中にもある不安を、誰かが口にしました。 福島の抱える問題の複雑さが正しく伝えられなければ、福島に対する理解を得ることが難しい時期が来るかもしれません。 子供たちのための甲状腺検査設備が、漸く郡山市内といわき市内の医療機関に常設されることになったと今朝の地方ニュースが報じていました。 そうした地域に暮らすということ。 福島に住む住民の一人として、今後を注意深く見守り、伝える責任があると感じています。 選挙期間中の12月13日から15日まで、東京ビッグサイトでは「エコプロダクツ2012」という国内最大級の環境見本市が開催されていました。 本会でも、その中のNPOブースに出展してきました。 ここ数年続けての出展ということで、古いセーターを1枚ずつ反毛(針で引っ掻いてワタ状に戻す工程)して作ったリサイクルのウールワタ「エコモコ君」を使ってのフェルト手芸教室には、「前回体験して楽しかったので…」と参加してくださるリピーターも現われました。 でも、今年の展示の中心は、地球環境基金の助成をいただきながらここまで進めてきた「いわきオーガニックコットンプロジェクト」の取り組みと、その中から生まれた初めての商品、収穫されたコットンの種で出来た人形「コットンベイブ」でした。 会期中の14日、東京新聞の連載「東北復興日記」(この連載は、東京のNPO法人JKSK「女子教育奨励会」と被災地の女性たちが協力して復興に取り組む「結結プロジェクト」の活動を通して執筆されているものです)の第18回として、コットンベイブのことを書かせていただいた記事が掲載されたこともあって、新聞の切抜きを手にブースにおいでくださる方もありました。 環境問題に関心をお持ちの方が数多く足を運ぶイベントです。 ブースにおいでくださる方の中には、「有機栽培」と名乗っていることへの疑問を投げかける方や、放射線量がどの段階で測定されているのかを尋ねられる方もあり、対応する私たち自身が、このプロジェクトを進めるにあたってもっと気を引き締めなければならないことを再認識させられました。 「来春にはお庭やプランターに種を播いて、在来種の有機の茶綿を育ててください。そして、秋になって収穫できた綿をいわきに送ってください。一緒にものづくりをしていきましょう!」私たちのメッセージを胸に、128体のコットンベイブたちが羽ばたいていきました。 コットンベイブたちは、いわき市内でもメッセージを届ける役目を果たしてくれています。 「津波被災地の小学校で学ぶ児童に、塩害にも負けない植物コットンを栽培することで、津波に負けない強い気持ちを持ってもらいたい。」 そんな校長先生の言葉で始まった久之浜第一小学校でのコットン栽培。 5年生の児童の皆さんが各自のプランターで育てたコットンは、児童の皆さん自身の手で思い思いの人形に仕立て上げられ、地域の高齢者の皆さんにプレゼントされました。 地域の中でのつながりを作る小道具として、「長生きして、いつまでもお元気で!」というメッセージの添えられたコットンベイブたちは精一杯働いてくれているのです。 そして、市内ではコットンベイブを取り扱ってくださる店舗が現われ始めました。 坂本紙店・リビングギャラリーせきはら・ポレポレいわき・アリオスパークサイドマーケット・スカイストア【平地区】 MARHON生活組曲【鹿島地区】 小名浜美食ホテル【小名浜地区】 古滝屋【常磐地区】 他にも、いわき市石炭化石館ほるるではイベントの中で販売を行って頂けることになり、鹿島ショッピングセンターエブリアやネーブルシティーかしま【鹿島地区】でもお取り扱いを検討頂いています。 いわきの町で生まれたいわきの農業再生に向けた取り組みを、いわきの方にこそ知っていただきたい。 そして、一粒の種を通して仲間に加わっていただきたい…それが私たちの願いでした。 そのための接点が、少しずつではありますが生まれ始めたことに、感謝したいと思います。 年内で、現在のボランティアセンターの場所から立ち退くことを求められ、クリスマス引越しをすることになりました。 行き先は同じ小名浜の地域内。 それでも、プレハブ一杯の荷物を移動させた上でのプレハブ自体の引越し作業は大仕事です。 ここ暫くは、ボランティアセンターへの通信手段も途絶えてしまいます。 年明けにすっきりと片付いて改まった気持ちでご挨拶できることを願いつつ、皆様への今年一年間の感謝を申し上げます。 よい年をお迎え下さい。 吉田恵美子 特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長 事務局 〒971-8101 福島県いわき市小名浜蛭川南5番地の6 TEL 0246-52-2511 FAX 0246-38-9538 携帯 090-2881−3107 URL:http://www.iwaki-j.com/people/ いわき市小名浜地区復興支援ボランティアセンター センター長 事務所 〒971-8164 福島県いわき市小名浜寺廻町1−10 TEL/ FAX 0246-92-4298 http://onahama-volunteer.jimdo.com/ いわき おてんとSUN プロジェクト http://www.iwaki-otentosun.jp/ |
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