【レポート】8.1「ポストY150」を見据えた市民想像力のつながりフォーラム
2009年08月02日(日)
8月1日、フォーラム「市民の想像力をつなぐ情報プラットホームを考える」が中区のBankART Studio NYKで行われた。これは横浜の地域SNS「ハマっち!」運営委員会が主催したもの。地域SNSの在り方などについて議論を交わした。
まず主催者であるY150市民参加プラットホーム推進委員会の山崎洋子委員長があいさつ。 山崎氏「開国博Y150はあと2ヵ月となった。最近、残念なのは(辞任を表明した)中田市長が『Y150の失敗から逃げた』とマスコミに言われ、Y150が失敗だとレッテルを貼られること。ベイ、ヒルサイドともに市民参加を促したい。3年前、150周年事業を市と直接のやり取りで始めたころは、市から情報が出てこないことが多く、何度もブチ切れた。そうしたことがあって、ハマっち!やイベントをエコにするネットワークが生まれた。Y150が終わっても市民参加をどうつなげていくかが大切」
続いて、開国博Y150の小川巧記総合プロデューサーが「創発」の場としてのハマっち!について語った。 小川氏「開国博の市民参加、市民力がマスコミで伝わっていない。それは大きなプラットホームがないから。3万人を超える市民が携わっているイベント。博覧会は時代のエンジンを見せるショールームだと思っている。時代のエンジンは19世紀=国家、20世紀=企業で21世紀は市民。生活者が時代のエンジンだ。創発は偶発で生まれるもの。『ココロザシの交流はコ=個、ココ=いまここに、ココロ=心、ココロミ=行動。開国150年生まれのハマっち!は普通のSNSを超える。創造的市民による創発は3万人の市民が参加。巨大なクモだけではない」
次に地域SNS研究会主宰で国際大学GLOCOM講師の庄司昌彦さんが「地域活性化と情報プラットホーム」をテーマに講演。 庄司氏「プラットホームは誰かと誰かのコミュニケーションを活性化させる基盤。フランスの地域SNS「Peuplade」は地域での行動を促すことを目的に作られている。ホワイトハウスなどのサイトもYou tubeやTwitterがリンクされている。オバマ政権下では、情報発信力を高め、行動を促し、マスコミを使わず、直接国民に情報を届けている。和歌山県の地方紙・紀伊民報が作っている『みかん』は『田舎のグーグル』とも呼ばれ、実際の結び付きが生まれている。情報プラットホームとしてのSNSは、人をゆるやかにつなぐものだ」
兵庫県企画県民部長で「地域SNSの育ての親」とも言われる牧慎太郎さんが「ICT(情報通信技術)を活用したコミュニティ活性化」をテーマに講演。 牧氏「横浜と神戸には『暮らす街』という共通点がある。暮らす街は地域SNSが活性化しやすい特長がある。外からの人材が地域に入り、愛着を持った人が多く、活性化する。農村社会ではフェイスtoフェイスが信頼関係の基本だった。しかし、時間と場所の制約があり、若者が意見を言いづらい環境でもあった。その点、ICTは時空を超えた情報共有ができる。mixiなどのSNSが荒れるのは匿名性が高いため。ひょこむでは後見人制度で実在性を高くしていて、荒れることは少ない。地域SNSは公演のようなもの。実在性を高めることが大切」
この後、ハマっち!のこれまでとこれからについて紹介された。 この日の司会を務めた「ハマの面食い男」ことALETTA1500GTさんがナポリタン対決を紹介。ほかにも、神奈川新聞の宮島真希子さんが「親子deおでかけマップ」を紹介した。また、市民放送局についても報告され、開国博Y150のヒルサイドエリアで行われている生放送とラインをつないだ。 最後のパネルディスカッションには、前出の小川氏、庄司氏、牧氏、宮島氏に加え、ひょこむ主宰の和崎宏氏が参加。司会は同プラットホーム推進委員の杉浦裕樹氏。 小川氏「開国博の市民参加は30代が多い。30代は会社での仕事に加え、社会進出にも関心がある世代」
宮島氏「取材の中で市民と出会うことは少ない。市民のことは市民がよく知っている。話し相手としてまちのことを知っている人と語り合う。開国博は人を介して参加したい。その知り合うきっかけがSNSだ思い、興味を持っている」
庄司氏「ハマっち!は『普通のSNSのちょっといい』くらいにとどまっている」
牧氏「平成の大合併で自治体が大きくなり、自治体と住民の間に顔が見える関係がなくなった。ひょこむでは兵庫県職員が仕事というより、一人の住民として参加している」
横浜市職員でGIS構築などに取り組む入江佳久氏「横浜市でも職員のSNS活用を試みたが、うまくいかず。公務員としてかかわりが難しい部分が残る」
mixi内の最大地域コミュニティ「I LOVE YOKOHAMA」管理人の佐藤勇氏「現在のメンバーは6万5000人。年齢などはさまざまで、それぞれの特技を活かした活動を行っている。ハマっち!にも期待したい」
相模原からの会場参加者「ハマっち!がイマイチの原因は?」
庄司氏「力を活かしきれていない。他媒体の発行などやれることはある」
宮島氏「ハマっち!を見ているだけの人が多い。そういう人は引き込むにはどうすればいいか?」
小川氏「難しい。この指とまれ型の参加は20世紀。『私が始めました』というような宣言がもっとほしい。ワールドカフェのようなオープンな場は見ている人を触発するだろう」
庄司氏「つないで広げるのがSNS」
以上で約3時間以上のフォーラムが終了。 参加者はその後、交流会でビールなどを飲みながら交流。その後は夜に行われる神奈川新聞花火大会に備え、見物ポジションを確保していた。
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カテゴリ横浜開港150周年
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投稿日時2009/08/02 20:35
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