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2009年12月10日(木) 
書名:山霧
   毛利元就の妻(上)
著者:永井路子
発行所:文春文庫
発行年月日:1996/11/30
定価:485円+税

書名:山霧
   毛利元就の妻(下)
著者:永井路子
発行所:文春文庫
発行年月日:1996/11/30
定価:485円+税

中国地方は大内氏と尼子氏の二大勢力が根を下ろし、その狭間で翻弄される国人の一人として毛利元就がいた。この毛利元就に政略結婚でありながら、まれにみえるほど愛された妻(おかた)さま。元就は何事にも慎重で、愚痴が多い殿様。おかたは何事にも明るい。難事にぶつかっても「天と地がひっくりかえるわけでもなし」が口癖。そんな二人の夫婦を描いた作品。主人公はおかた。永井路子は現代からみると政略結婚というとすぐに女の人格はなかった。

女性の悲劇のように見る向きもあるが、実は国と国の親善大使(勿論大勢のスタッフも連れて行く)、またスパイの役目を果たす。実家と嫁ぎ先の間を調整する大使という大きな役割があり、またそれをこなしていた。現代の見合い結婚のように親が周りがそれぞれ将来に希望を持てる組み合わせを選んでいるように。政略結婚もそういった視点から考えてみるとそれはそれで時代にあったやり方だったのではないか。毛利というと「三本の矢」が有名で。兄弟仲良くしていたようにみえるけれど実は逆に兄弟仲はあんまり良くなかった。だからいさめの意味で「三本の矢」の話が有名になっている。これは今の世に例えてみれば「いじめ対策」100年、200年後の人々はいじめの無かった社会だったと勘違いするの同じ事。歴史の中で有名になっていることなど逆説的に考えて見ないといけないところが多いと言っている。

 また後世、英雄と呼ばれている人は人格者でも偉人でもない。ある特異な才能が開花して戦上手になって城主になっていたり、将軍などになっているだけである。と。狂人か変人かもしれない。運が良かっただけかも。元就も自分の領地を守だけに汲々としていたに過ぎない。大きな野望、計画などなかったけれど結果的に中国地方の大きな勢力になってしまった。後世国盗り物語などと天下人の野望があって、それに向かって戦国大名が競っていたように思うが、実はその時、その場を精いっぱい生きただけ。だったのかもしれない。
 元就の手紙類を紐解きながら書かれたこの山霧は歴史的に見ても面白い視点が一杯あると思う。

閲覧数2,526 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2009/12/10 19:45
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