以前から、「ごろっとにばんぺいゆあり」と聞いてはいましたが、実際にその栽培農家を訪問させて頂けるとは思ってもみませんでした。
九州地域SNS歴訪のトリとなったのは、地域SNS生誕の地・熊本県八代市。ひょこむで巡り会い、川崎で出会って、信州上田で友好を深めたごろっとやっちろののぶりんさんとご主人、そして「八代よかとこ宣伝隊」の中村さんに九州新幹線新八代駅で出迎えて頂き、新年会までの僅かな時間を使ってご案内頂きました。本当にありがとうございました。
「ばんぺいゆ」は、名古屋風に簡単に言うと「どえりゃ~でっけぇ~ミカンだぎゃあ~♪」。メロンより大きくスイカよりやや小さいくらいをイメージするとピッタリ。大きさから「柑橘類の王様」と呼ばれるミカン科の果物の一種で、名前は、晩(晩生)・白(果肉が白っぽい)・柚(中国語で丸い柑橘という意味)に由来しています。匂いがとてもよく、鼻を近づけるとやんわりとした甘酸っぱい匂いがして、癒し効果抜群。保存性が高くて、皮が柔らかくなり食べごろになるまで、涼しい場所なら観賞用として1ヶ月ほど置いておけます。
写真のサイズは4Lと言われるばんぺいゆの中でも最も大玉。直径17cmがLで、そこから2cm大きくなるごとに2L,3Lとなります。4Lとなると1000個にひとつくらいの出現率で、有名デパートの果物では15,000円以上の値がついていることもしばしばという逸品です。以前から、東京以西の果物店に少しずつ出回っていましたが、ここ数年は出荷量も増え、贈答用として静かなブームとなっています。地元ではなかなか食べる機会のない珍しい果物になっているようです。
ばんぺいゆはもともとマレー半島原産で、日本には1920年に植物学者の島田弥市が、サイゴンの植物園から株を分けて伝わったと言います。しかし、当時は栽培法がわからず普及には至らず、1930年に台湾から鹿児島県果樹試験場に株が導入され、最適産地の熊本県八代市地区に根付き、現在は八代市の特産品となっています。
収穫してから数週間、熟成させるために集荷場で寝かせます。青みの残るレモン色の表皮が黄色く色づき少し柔らかくなったら出荷時。そこから業者を通して購入者に渡り、1~2週間くらいで食べ頃を迎えます。現在は36軒の栽培農家があり、今回お世話になったファースト・クイーン振興会代表の佐竹勝則さん(八代市奈良木町)の農場の木は、1965年に植えられたものだとのこと。地域で長い間大切に育ててきた宝物が半世紀を経てやっと大きく花開こうとしているのがよくわかります。
地球温暖化の影響か、最近は暑い夏が続き、ここ数年は作柄も味も非常にいいとのこと。酸度1程度ではないとミカンとは異なり、酸度3~4でも十分に美味しいばんぺいゆは、大振り白い果肉で甘酸同時に楽しめる独特の味わいがあります。
これだけの大きさなので、スイカやメロンのように地面の上にツタで広がると思われがちですが、なんとこれがミカンと同じように木になっています。ちょうど12月から1月いっぱいが集荷時期になっていて、たわわにばんぺいゆの実を提げた姿は、素人からみるとちとかわいそうにも見えるくらい。なんとも不思議な果実でありました。
わざわざ長時間にわたりご説明を下さった佐竹さんに、心より御礼申し上げます。なんとお土産に、3Lクラス玉を頂いてしまいました。これは、地域SNSの仲間に「やっちろ大使」としてプレゼントすることにしましょうね。