早川建設の信川です。 今回のテーマは先週の農村六起実地研修2日目のお話。 1日目は「海鯨」、2日目は「山鯨」=イノシシ。 田畑や山を荒らす有害鳥獣として南房総の農業関係者を 悩ませているイノシシ。 猟師による駆除や罠による捕獲をしても増えるばかりの 現状を逆手にとって、地域おこしの商品として猪肉を 利用することはできないのか。 南房総市和田地域は南北に長く、南は太平洋に面し、 三原川と温石川流域では稲作を中心とした田園地帯、 そして北部山間地帯は「南房総のチベット」のごとく 沿岸部とは違った産業や食文化があるのも資源の1つ。 平成7年、統合により廃校となった町立上三原小学校の 建物と土地を利用した町営の体験交流施設がある。 それが今回研修生が宿泊した「自然の宿 くすの木」 http://www.mboso-etoko.jp/kusunoki/history/index.html 廃校利用と地元自治会による運営で全国的にも有名な この施設について、施設長の北見氏からレクチャー。 当時のまま残されている講堂も見学させてもらった。 座学の後は作業体験。 今年4月に和田町磑森(するすもり)にOPENしたばかりの 市民農園&クラインガルテン施設「遊々里山」で、 農作業の一環として刈払機を使った草刈り体験をした。 http://yuyusatoyama.jimdo.com/ 都会からやってきた研修生は刈払機を使うのも初めて。 かくいう私も使った事がないというくらいである。 施設代表の高橋憲男さんに先導されながら里山へ入る。 このあたりの山はほとんどが高橋さんの所有。 その広大な山林をここまでキレイに管理するのは 時間も手間もとてつもないものだったろう。 そんな偉大なる先輩から草刈りのレクチャーを受ける。 刃物だけに危険を伴う作業のため真剣に聞き入った。 研修生1人1人に刈払機が渡され、エンジンを回す。 緊張した表情の研修生がうっそうと茂る草むらへ。 今回の実地研修のコーディネーターである重田くんは、 館山の安西農園さんで日頃農作業を手伝っているので、 都会育ちにもかかわらず刈払機の扱いは手慣れたもの。 この日研修に同行してくださった南房総市職員であり、 『WAO!』メンバーでもある平川さん。 NPO法人ネイチャースクールわくわくWADAの活動などで 山仕事には熟知しているため指導に加わってくれた。 http://civil.mboso-etoko.jp/group/detail.asp?id=5 空は晴れ渡り、炎天下の中の草刈り作業。 木陰を選んでの作業となったが30分程度で休憩。 高橋さんから冷たいお茶を頂き、山間部周辺への 移住状況についてのお話をうかがった。 休憩後草刈りが一段落すると、近くにある農園へ。 現在数名の会員さんと一緒に栽培している畑や、 稲刈りをしたばかりの田んぼを見せて頂きました。 そして、山間部ならではの絶景に研修生も感動! 景色を眺めながら休憩できる東屋も整備され、 近々トイレを整備していくらしい。 お昼も近くなりお腹がすいてきたところで、 高橋さんの奥様が作るカレーのかほりが漂ってくる。 山の斜面を登ると高橋さん自作のロッジが3棟あり、 その真ん中にある平らな所にテーブルとイスを並べる。 ロッジで作った料理はイノシシ肉を使ったものばかり。 カレーの肉もイノシシ、ソーセージもイノシシ、 そのほかは高橋さんの畑で収穫した新鮮野菜。 イノシシの肉は「臭い」「固い」というイメージで、 牛豚鶏の家畜の肉と比較すれば確かに不安定ではある。 しかし、保存方法や調理のコツさえしっかりとすれば 十分に食用として味わう事ができる。 このカレーだって「イノシシ肉」と言われなければ、 豚肉のそれとたいして変わらない風味である。 ただし、猪肉を扱っている食肉処理場については、 南房総周辺だと現在稼働しているのは大多喜だけ。 これから鴨川市天津と君津市に建設予定のようだが、 商品として猪肉を販売するにはコスト面が悩ましい。 南房総の山間部で、年々増え続けているイノシシ。 そんな里山の現状を現役猟師の高橋一男氏を聞いた。 農園を営みながら猟師として生きていく人々のために 私財を投資し、なんとか地域産業へ変えていきたい。 そんな想いを語って頂けたと思う。 山を下りる。 くすの木さんのご厚意でシャワーを浴びてスッキリ。 実地研修で得た情報や体験から和田地域の可能性を 研修生と『WAO!』メンバーが意見交換・意見共有する。 強み・弱み・チャンス・脅威。 地域づくりの研修らしいワークショップをしながら、 地元の私達では気づかないような切り口から飛び出す アイディアや魅力について具体的に練り上げていく。 2時間という短い間に、新しい境地が見え隠れする、 そんなワクワクするような時間を共に過ごした研修生。 今回の研修で挙げられた幾つかの提案を形にするのは、 和田をあんとかしねぇばおいねぇ!と考える私達。 たくさんの住民の皆様に理解と協力を仰ぎながら、 少しずつ丁寧に、そして確実に前へ進め実践する。 そう心に誓いながら、研修生達を見送った。 今度は研修ではなく、和田町へ遊びに行きたい! そんな彼らを受け入れるために私達は一歩踏み出した。 |