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2012年12月02日(日) 
書名:山霧(上)毛利元就の妻
著者:永井路子
発行所:文藝春秋
発行年月日:2011/7/25
ページ:359頁
定価:581円+税

書名:山霧(下)毛利元就の妻
著者:永井路子
発行所:文藝春秋
発行年月日:2011/7/25
ページ:397頁
定価:581円+税

この本は毛利元就の物語ではない。十六世紀の初め、中国地方は大内氏、尼子氏の狭間に割拠する小国主が乱立していた。中国地方吉田庄の小領主、毛利元就のもとに「鬼」と呼ばれる吉川国経の娘が輿入れをした。権謀渦巻く乱世にあって、二人は否応なく戦国の夫婦として生きて行くことになる。毛利元就の妻「おたか」が嫁いできてから亡くなるまでを中心に描かれている。

何事に対しても奥の置くまで気がつく元就、慎重すぎる位に石橋を渡る元就に対して、「おたか」は何事に対しても「天地がひっくり返るわけでもなし」と楽天家。戦国時代を生きた男と女のやり取りをユーモラスさも感じさせる会話のやり取り。生き生きとした「おたか」がおおらかに描かれている。

男中心の物語が多い戦国時代、こんな夫婦もいたものだと感心させる。また永井路子は歴史にも憧憬が深いので歴史学者顔負けの持論も展開していて、歴史の見方も面白い。愉快に読める長編歴史小説です。「三本の矢」で有名な話も実は毛利元就の息子達兄弟は非常に仲が悪かった。したがって元就の心配は兄弟仲のことも心に巣くっていた。

細々とした手紙類が残されている。だから余計に「三本の矢」の話が強調された。とか政略結婚で女性も男もその人の人生は二の次、お家の為という現在の見方は一面そんなところがあるが、実際は嫁ぐ女性は外交官、スパイの役を担う。しかし実家べったりかと思えば、世継ぎが生まれると、実家よりは嫁いだ家、息子の為に尽くす。女性の地位が今言われるほど虐げられてきた訳でもない。そんな視点を与えてくれる。

閲覧数1,042 カテゴリ本に出会う コメント0 投稿日時2012/12/02 18:55
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