前回(http://sns.hamatch.jp/blog/blog.php?key=49285)のつづきです。
すごくがんばっている人が
「ムリしないで」と言われたら、
気持ちにどんな変化が起こるでしょうか?
たとえば、
・大きなやり甲斐や使命感の中で仕事に没頭している人
・遊びやスポーツに夢中になっている人(とくに子どもたち)
・大作に打ち込んでいる芸術家
・気になっていたところの掃除をつい始めてしまい止められなくなったとき
といった場面が考えられそうです。
介護をしている人も同様の場面に立っていますが、
ただし、介護は「できる(得意)」とか「すき」だからしたり、
「できない」とか「きらい」だからしなくていいというわけにはいきません。
「やるか、やらないか」の二択です。
相手が、今すごくがんばっている場面で
「ムリしないで」と声をかけることは
「やるな、やめろ」という禁止令や
「お前にはムリだ、できない」という死刑宣告に等しいものです。
軽い場合は、水を差された気分や不安、
重い場合は、うまくできない自分への苛立ちや焦り、
自信喪失、自暴自棄、発言者への逆ギレ
最悪の場合は、絶望します。
そして、介護される側の立場にある人もがんばってる人と同じ状況です。
なりたくて寝たきりや痴呆、後遺症になったのではありませんし
やってほしくてお世話されているのではありません。
でも、やめたくても、生きている限りそれが続くのです。
「大丈夫?」なわけがありません。
だけど、そんな大丈夫じゃないなかで
「ちょっと、ちょっと!
なかなかどうして、うまいことやれてるじゃないの!」
という小さな小さな成功が
できる安心感や生きている喜びや次のチャレンジをしてみる勇気に
つながっていきます。
「よくここまでできたね!」
「うまくいったじゃない!」
「お疲れさま、よくがんばったね!」
一歩つまづいた心配や同情されるより、
つまづくまでの半歩踏み出したことをほめてほしいのです。
肩代わりしてもらえるはずもない疲れを心配されるより
応援されて元気をもらいたいのです。
問題はいっぱいあります。
どうしてもがんばらなくてはならない場面も多くて、疲れます。
怒りや悲しみ、焦りもたくさんあります。
でも、それでもいいのです。
それらがあることを、まるっと受け入れて
ゆっくりでも確実に、歩んでいける勇気とパワーがほしいのです。
必ずしもポジティブな評価ある必要はありません。
「うん、がんばった。ダメだったけどね」が
どれほど現実を受け入れる力を後押しするでしょう。
「ダメだなぁ」「ダメだねぇ」
と問題を隠すことなく話しあい、笑いあえる関係性から
大きな安心感がもたらされます。
多くの苦労と問題とがあること、
それを恐れないで生きていけるという実感とがくり返されると
失敗しにくくなっていきます。
さらに、
「できた!」という奇跡が起こりやすくなります。
すると、同じ時間を費やしても
「苦労が軽くなる」
「生活を楽しめる」
「余裕が生まれる」ようになるのです。
苦労やストレスはないことがよいことではありません。
消そうとしても消えません。
「消せない」という新たなストレスが増えるだけ。
問題はあっていいのです。たくさんあってもいいのです。
その存在をまるっと認めて、工夫したり、試したり、
ときには、それで遊んだりして、楽しむこともまた、できるのです。
楽しいことに夢中になることで、海馬では神経細胞が成長します。
(前回の「ためしてガッテン」でもいわれていましたが
大人になってからも海馬の脳細胞は増えます。
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20131023.html )
脳の若返りのためにも、
がんばっている人のことは
心配よりも、どうぞたっぷりの応援をしてあげてください。
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毎月第1水曜日11:00~12:30です
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