「メリケン(Ameircan)、ケンロウ(candle)、ボウリ(bird)、ヘンロ(hand)、グール(good)、フラウラ(father)などなど。」
実際に取り交わされる「会話」はこれらの「記号?」のやりとりで、「充分やれる」、気がします。
先日、昔モーリシャスに生活したことのある友人に、横浜には「ハマことば」と言うのがあって、”ピジン・イングリッシュ”と言われたようだ、と話したら、モーリシャスにも”pidgin”という言葉があった、とのこと。改めて”pidgin”と言う言葉について調べました。 語源は「中国語ではbusinessをpidginと発音する」ことから来たようですが、その意味するところは、(中国語と英語に限らず)「言語が違う2カ国の人が、貿易をするにあたり、お互いのコミュニケーションのために作り出した言葉」と言うことのようです。 そして、学問的にも”Yokohama Pidgin Japanese”と言う言葉があるようです。 でも、Bishop of Homocoが横浜で1879年に出版した“Exercises in the Yokohama Dialect” ( http://www.atrus.org/yokohama_dialect/scans/view_07.html )を見ると、これは「ハマことば」(Yokohama Dialect)と言うよりは、「英和辞典」で、彼らの耳には日本語(横浜弁)がこのように聞こえたのだ、と思って見てみると、これはこれで面白いですね。 で、このあとは、所謂「ハマことば」について。 横浜が開港した直後は、外国人のことばと日本各地の故郷訛り、それに元々の横浜村の土地ことばが飛び交い、やがて独自の「ハマことば」が誕生していきました。 「ハマことば」の一番の特徴は、外国人との間でボディランゲージのように発達した「ピジンpidgin語」と呼ばれたビジネス用語です。 もともとは、外国語をすばやく覚えこむ才能に優れ、世界の港に早くから進出していた中国人が考え出したようですが、外国人と接する機会の多い、人力車夫が作り出したものも多いようです。 マドロス(船乗り)、ドロンケン(酔っ払い)、グドモウネン(おはよう)、タンキュウ(ありがとう)、グルバイ(さようなら)などは、日本人の耳に聞こえた英語ですね。メリケン(Ameircan)、ケンロウ(candle)、ボウリ(bird)、ヘンロ(hand)、グール(good)、フラウラ(father)などなど。 「寺院」を「てんぽう・はうす(天保ハウス)」(temple houseのつもり?)と訳したりしたものや、逆に、日本語をそのまま用いたものもあります。タベロ(食事)、ヨカヨカ(気に入った)、ハイケン(検査)、キンコバン(出納係)などなど。 例えば、木にとまった2羽の鳩を「あれは何だ?」と外国人に訊ねられて、「ツウ、ポッポ、キ、マテマテ」(2羽の鳩が木の上で休んでいる)と言うように答えていたようです。 「英語+擬声語+日本語」です。 日本と貿易をしようとしてきた外国人が、このような「ハマことば」を勉強している姿を想像すると、おかしいですね。 暁印書館から「横浜・ハマことば辞典」(伊川公司編著)が出ています。 でも、この言葉を勉強するのは、難しいですね。至難の業のように思います。 |