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2017年05月30日(火) 
書名:暗転
著者:堂場 瞬一
発行所:朝日新聞出版
発行年月日:2012/6/30
ページ:350頁
定価:1700円+税

雑誌記者の辰巳は普段の出勤とは違った朝早い時間に取材で作家の家に行くため、朝の通勤ラッシュ時の満員電車に乗らざるを得なくなった。その満員電車で汲汲としている中、突然その電車が脱線転覆した。しばらく意識を失ったが、気がつくと横転した電車の一番上にいた。下には乗客が重なっていた。そのうちに誰かに窓から引き上げて貰って気がついたときには病院の中。左足・半月板の骨折の重傷。左目打撲と診断される。死んだ人が80人、重軽傷者200人以上の大惨事。

脱線で閉じ込められていた社内で辰巳の下になっていた女性は病院で亡くなってしまう。
福知山線の列車脱線事故をなぞったような描写。犠牲者達の無念を晴らすため、ジャーナリストと老警官が動く、事実を隠そうとする鉄道会社との戦いを描いている。読み応えのある本です。

鉄道会社の広報マン、その母の一言。「正しいことをしなさい。会社員であるまえに社会の一員でありなさい。」が心に響く。事故原因を追いかけるミステリー小説ですが、それとは別の訴えたいことが潜んでいる。日本社会も捨てたものではないことが実感できるさわやかさの残る作品です。

閲覧数1,286 カテゴリ本に出会う 投稿日時2017/05/30 22:08
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