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2017年07月24日(月) 
書名:嘘つきアーニャの真っ赤な真実
著者:米原 万里
発行所:角川学芸出版
発行年月日:2001/6/25
ページ:301頁
定価:552 円+税

米原万里さんは1960年~1964年(9歳~14歳まで)の少女時代、チェコの「在プラハ・ソビエト学校」に通っていた。そこは世界中から集まってきた共産党員の子弟のための学校。その学校で出会った同級生3人の話。この本はエッセー集です。1960年代の東西冷戦の中で共産主義の東欧での生活、日本に帰ってきてからの生活、ベルリンの壁崩壊後の東欧、チョコの内戦など実体験に基づいて親子2代のそれぞれの歴史を世界史の視点でアンテナを高くして米原万里の歴史書という側面もある。30年後にあった級友3人を通して世界史を見ることが出来る。

また子供時代にも労働者のためという共産党、幹部は労働者階級になったこともない。勿論労働もしない。そんなアーニャの両親の生活。また「在プラハ・ソビエト学校」の級友達の裕福で恵まれた生活。そんなことも子供の目から矛盾を感じたことを素直に書いている。作者しか経験していないし、その目でしか見えない。目から鱗という視点が視点が面白い。異文化だけで説明できない。鋭い感覚が見えてくる。常識にとらわれないため、また発想の転換をする上でもこの本は気づきが感じられる。是非若い人に読んで欲しい。著書の中でも特にお勧めの本です。

30年ぶりに友人を探す話も一つのミステリーでなかなか面白い。

(本書より)
労働者農民の解放を説いたレーニン自身が、実は生涯に一度も自らの労働で自分の生活を支えるという生活者の経験を持たなかったことや、地主として小作人からの小作料を当てにして生きていた事実を確認できたのは、ごく最近である

帰国後、地元の中学に転校した直後、私がひとかたならぬショックを受けたのは、いとも気軽に生徒たちが、学友や教師を、「デブ」とか「ハゲ」とか「チビ」とか「出っ歯」とか「オデコ」と当人の人間としての本質とは無関係な、当人の意志ではどうにもならない容貌上の特徴をあげつらって呼んでいることだった。

故国への愛着は、故国から離れている時間と距離に比例するようであった

異国、異文化、異邦人に接したとき、人は自己を自己たらしめ、他者と隔てるすべてのものを確認しようと躍起になる

大きな国より小さな国、強い国より弱い国から来た子どもの方が、母国を想う情熱が激しいことに気付いた

「西側に来て一番辛かったこと、ああこれだけはロシアのほうが優れていると切実に思ったことがあるの。それはね、才能に対する考え方の違い。西側では才能は個人の持ち物なのよ、ロシアでは皆の宝なのに。だからこちらでは才能ある者を妬み引きずり下ろそうとする人が多すぎる。ロシアでは、才能がある者は、無条件に愛され、みなが支えてくれたのに」

なぜ、差別無き平等な理想社会を目指して闘う仲間同士のはずなのに、意見が異なるだけで、口汚く篤り合い、お互いが敵になってしまうのか。それが、どうしても理解できなくて絶望的に悲しかった。

「むかし、むかし、あるところに、それはそれは仲の良い兄弟がおった。苦労も喜びも分かち合って支え合いながら暮らしておった。ところが、あるとき、余所からやって来た男が、兄を訪れ、その耳元に何事かヒソヒソ囁いた。次に弟のところへやって来て、その耳なかむつ元にヒソヒソ囁いた。仲睦まじかった兄と弟の間がこじれていったのは、それからさ」

ユーゴスラビアを愛しているというよりも愛着がある。国家としてではなくて、たくさんの友人、知人、隣人がいるでしょう。その人たちと一緒に築いている日常があるでしょう。国を捨てようと思うたびに、それを捨てられないと思うの。

閲覧数339 カテゴリ本に出会う 投稿日時2017/07/24 21:06
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