書名:和菓子の歴史 著者:青木 直巳 発行所:筑摩書房 発行年月日:2017/8/10 ページ:263頁 定価:1200 円+税 この本は虎屋文庫に勤められていた青木直巳さんが和菓子の歴史にまとめられたものです。古代の菓子と言えば天然の果物や木の実であり『果子』であったと考えられています。その後その後、穀物加工の技術が生まれ「餅・団子・饂飩」が作られ、甘葛煎(あまずらに)など蔓あまちゃを 煮詰めた甘味が生まれたり、米もやしから飴が作られました。その後、遣唐使が大陸に渡るようになり、唐菓子(からがし)が移入され、粉をこねたり油で揚げるなどの 技術が伝わりました。やがて茶が伝わって喫茶の習慣が発達します。その後南蛮菓子も渡来してカステイラ、ボーロ、ビスカウト、こんぺい糖、有平糖などが紹介されましたが、これらの菓子が江戸時代になって菓子の発展に大きく寄与しました。和菓子という言葉は新しくて昭和20年頃か? 江戸時代になると禁裏御用菓子商(京都が中心)、幕府・大名御用菓子商(江戸)が発展します。ところが明治になると幕府・大名御用菓子商は殆ど廃業して今に残っている菓子商はありません。幕府・大名御用菓子商の大きなところは大久保主水、虎屋(今の虎屋黒川とは関係ないようです)他、禁裏御用菓子商は虎屋、二口屋、桔梗屋など虎屋は明治2年に東京に出てくる。これが今の虎屋。大阪にも虎屋という店があったようですが、虎屋黒川とは関係は無かった。 著者は古文書も得意で「和菓子の歴史」ですが、それに関する古文書なども紹介しています。参考文献が奥深い。「和菓子とお茶」そして俳句それぞれが季節を感じる、季節を楽しむ。日本の四季とマッチして相互に影響を与えながら発展してきたことが感じられると思います。年中行事とお菓子もなかなか面白い。 国立国会図書館デジタルコレクション - 江戸職人歌合 2巻 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2533750 国立国会図書館デジタルコレクション - 江戸自慢三十六興総目録 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1305719?tocOpened=1 |