四日市あすなろう鉄道にDMVを導入して走らせようという意見が 一部であるようだが、これを聞いた時、正直な話首をかしげてしまった。 あすなろう鉄道の車両とDMVを比較した場合、車幅だけを見れば 問題ないように思えるかもしれないが、別の所で問題が起きるのだ。
まず線路幅である。
知っての通り、あすなろう鉄道は線路幅762㎜ゲージの特殊狭軌、 所謂ところの軽便鉄道である。対して、現在国内にあるDMVの 軌陸部の幅は在来線標準軌である1067㎜。あすなろう鉄道の方が 305㎜も狭いのである。あすなろう鉄道は全国に3か所しかない 特殊狭軌旅客鉄道である為、新しく車両を導入するとなると、 他所の鉄道の払い下げ等、既存の車両を流用することが出来ない。 詰まる所どうしても特注品になってしまうのである。 DMVの方も、後輪のゴムタイヤをそのまま駆動輪としてレールに接地 させて走行する手法を採っている為、その構造上、線路幅が狭すぎると、 レールがタイヤの内側に来てしまい、駆動輪が使えなくなる。 と来ると、当然ながら軌陸部どころか駆動輪の構造も複雑になり、 発注費だけで高くついてしまう事は想像に難くないのである・・・;
続いてモードチェンジ場所である。
そもそも論で住宅街の中を縫うように走っているあすなろう鉄道には モードチェンジが出来る場所が殆ど無いのである。鉄道⇒車なら 踏切でも出来るだろうが、問題はその逆である。道路から鉄道に 戻るとなると、線路の位置キッチリに車輪の位置を合わせなければ ならない為、その為のガイドウェイ等が必須になってくる。 あすなろう鉄道でそれが設置できる場所となると、全線乗った身と しては、車庫のある内部駅の側線くらいしか場所が無いように感じる。 四日市駅は近鉄の高架下なうえに周辺を道路に囲まれてるので もってのほか、あすなろう八王子駅は駅の真正面にタクシープールは 存在しているものの、堤防のかさ上げ工事に伴って線路の位置が 道路よりも低くなってしまっている。おまけに駅のすぐ横に 利用率の高い駐輪場があり、この駐輪場を廃止してガイドウェイ用の 側線を新設するのは非常に厳しいものがあるように思う。
最後、あすなろう鉄道の運行頻度である。
あすなろう鉄道は現在でも一時間に上下二本ずつ、特に四日市から 日永の間は一時間に上下四本ずつという、ローカル線としては中々の 頻度で運行している。その間にDMVの運行をねじ込むとなると、 対向列車との行き違いのタイミングやら何やら調整し直さなくては ならないし、道路を走行中のDMVが交通渋滞に巻き込まれないとも 限らない。と言うか四日市市内の道路事情を見るに、バスが遅れる 原因となる交通渋滞がかなり高頻度で発生しているように感じる。 この渋滞によってDMVが遅れた場合、あすなろう鉄道の列車の方も 大いに影響を受けることになる。このせいで近鉄や他の路線バスとの 接続に間に合わない、なんてことになったらそれこそ一大事である。
ここまで記したのはあくまで俺の個人的かつ偏見だらけの意見であるが、 あすなろう鉄道の線路・車両事情、四日市市市内の道路事情の両面から 考えて、あすなろう鉄道にDMVを導入するのはあまり良いアイデアとは 思えないのである。 と言うかそもそもDMVって利用者の減少した過疎路線で使う為に 開発された車両だし。あすなろう鉄道まだそこまで利用者が落ち込んでる 訳じゃないし。そこら辺の事ちゃんと考慮してるのか疑問である・・・;
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