「先生、ここのソファは新品同様なのに、
なんで足もとの前張りだけスリ切れちまってるんです?」
家具職人の不可解な言葉で、心臓内科医のフリードマンは、心臓疾患の患者さん特有の行動パターンに気づきます。観察してみると、彼らの多くは待ち時間をイライラして過ごし、呼ばれたらすぐ立ち上がれるよう、浅く腰掛け、脚をゆすっていました。これでは、前張りもこすれるわけです。
同じ医師ローゼンマンと研究し、1959年に心臓疾患の患者さんの行動パターンについて発表されます。aggressive([否定]攻撃的/[肯定]積極的)の頭文字をとって「タイプA」と命名されました。
タイプAの特徴
タイプAの狭心症と心筋梗塞の発症率はそれ以外の人と比べて2倍になり、虚血性心疾患の患者さんの77%はタイプAという調査結果もあります。心臓疾患の発症リスクとともに、重症度も高い、日常のストレスケアが不可欠な人といえます。
タイプAの性格や考え方、行動には次のような特徴があります。
①目標達成へと導くバイタリティと行動力
②強いライバル意識とリベンジ精神
③周囲からの高い評価や昇進を望む野心
④限られた時間に多くの仕事を同時に抱え込む
⑤機敏でせっかち、歩くのも食べるのもしゃべるのも早い
⑥不可能を可能にすることが好き
ただ、アメリカと日本では文化が異なり、日本人の場合、闘争心や敵意を抑圧して(これも危険)内に秘めたり、仕事への熱意として表現されることが多いようです。
日々の生活習慣では、喫煙率が高く、飲酒量が多い(海外の調査)、日常的にストレスを感じている割合が高くなっています。
あなたはタイプA?
タイプAの人が心臓疾患のリスクを回避するためのステップ1は「タイプAだと気づくこと」です。ということで、さっそくチェックしてみましょう。
タイプAチェックリスト
「YES」か「NO」でお答えください
01. 毎日忙しい生活である
02. 時間に追われている
03. 何ごとにも競争してしまう
04. ちょっとしたことでも怒りやすい
05. 仕事や行動に自信がある
06. 何ごとにも熱中しやすい
07. 何ごとでもきちんと片付けないと気がすまない
08. 緊張したりイライラしやすい
09. 早口でしゃべる
10. 並んで順番を待つことがイヤである
野村忍(早稲田大学教授)『情報化社会のストレスマネジメント』(日本評論社/2006年)より
「YES」が6つ以上の人は、タイプAの傾向が強いので要注意です。
タイプAのリスクを回避するステップ
step①
タイプAだと気づくこと
・日常の自分を振り返ってタイプAの行動パターンを
いつ、どこで、どのくらい、どんなふうにやっているか
・家族や同僚に、自分のタイプA的な部分を教えてもらう
・家族や同僚があなたの行動パターンについて
どんなふうに感じ、考えているか聞いてみる
step②
タイプAの行動パターンを変える練習
・よく笑う
・ゆっくり話す、食べる
・時計を使わない(スマフォがあるけど)
・パートナー・家族への愛情表現
・追い越し車線に入らない など
step③
仕事の負荷を減らす
・仕事量の調整
「俺がやったほうが早い(うまい)」のはみんなわかってます
・労働時間の調整
1日の労働時間が11時間を超えると、
1日7~8時間労働の人と比べて、
心筋梗塞を起こすリスクは2.4倍に上昇します
・仕事以外のコミュニケーション・趣味の充実
・おしどり夫婦は血圧が低く、不仲の夫婦は血圧が高い
・一人暮らしで近所づきあいがある人とない人では、
ご近所と親しい人のほうが血圧は低い傾向
・ペットを飼っている人と飼っていない人では、
飼い主(下僕かも)のほうが血圧は低い傾向
・日常で「快適さ」「幸せ」を感じている人は血圧が低く、
「欲求不満」の強い人は血圧が高い傾向
step④
健康的なリラクゼーション法の習慣化
・ストレッチやヨガ、入浴
・もちろんスポーツもOK!
・写経や陶芸などの趣味
・ストレス・コーピング(認知行動療法)
・自律訓練法
・暴飲暴食などの不健康な解消法はダメ!
参考
調査研究報告書No.117 職業と心臓病
日本労働研究機構/1998年11月
http://db.jil.go.jp/db/seika/zenbun/E1999010013_ZEN.htm
わたしたちの身体にはホメオスタシス機能が備わっているおかげで、体温や心拍数、血圧などの状態を一定に保たれています。ストレスによって交感神経が優位に働き、ホメオスタシス機能に影響を受けることは、以前も書きました。血流・血圧・心拍数のリズムをつくる心臓や血管にストレスが与える負担は甚大です。
症状はストレスのサイン。健康を失わないうちに、生活習慣の改善とストレスケアを。
ストレスが原因かもしれない病気
高血圧・動脈硬化・心筋梗塞・狭心症・
心臓発作・心不全・脳卒中など心臓疾患
ストレスがどうして?
①交感神経優位の状態が続いて
ストレスを受けると、身体はリスクに備えて臨戦態勢に入り、このとき交感神経が優勢になります。脳や心臓など重要な臓器に血液を集中させ、胃や腸の活動は抑えられます。
・心拍数が増加する
・血圧が上昇する
・血管が収縮する
ちなみにリラックスしているときは、この逆で胃や腸に血液が集中します。
心臓への刺激や負担が強いと不整脈が発生します。活動が活発になる心臓はたくさんの酸素を必要としますが、供給が追いつかないと心臓は酸欠状態に陥ります。これが狭心症や心筋梗塞の原因になります。
②副腎皮質ホルモンがたくさん分泌される
ストレスを受けると、別名「ストレスホルモン」と呼ばれる副腎皮質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなど)が活発に生産されます。すると、血液や血管には変化をもたらします。
・血圧を上げる
・血糖値が増加する
・血中コレステロール濃度が高まる
・血小板が増加し、粘度が高まる
・動脈壁を傷つける
この状態が続くと、血液の濃度が高まります。よく言われる「血液ドロドロ」の状態で、血管にとってたいへんよろしくありません。放置されれば動脈硬化を起こします。
ほかにも
・血中カリウム値を下げる
・心筋の過剰な収縮の原因になる
カリウムは神経や筋肉の情報を伝達する役割をしています。低くなると、筋肉の弛緩・収縮がうまくいかなくなり、心筋でのカリウム不足は、不整脈を起こし、心停止、心臓発作の原因にもなります。
③扁桃体が白血球増産の指令を出す
大脳の海馬に隣接する扁桃体には、五感や内臓・身体で得られた感覚や脳で処理された情報が集められます。ここで感覚や情報は、「好き(有益)」か「嫌い(有害)」か判断されます。扁桃体はストレスを最初に判定・認知する機関で、とくに不安、緊張、恐怖への反応は扁桃体の重要な役割です。
マサチューセッツ総合病院の研究で、慢性ストレスが扁桃体の活動が高められると、白血球が増産され、その結果、動脈の炎症や狭窄、心血管障害につながることがわかりました。また、安静時でも扁桃体活性が高いグループは、低活性のグループよりも心血管疾患が早期に発症する可能性があるとしています。不安・緊張・恐怖に晒された生活は、扁桃体を過活動にし、心臓発作、心不全、脳卒中、動脈狭窄のリスクを高めます。
ハート(心)ケアはハート(心臓)のケア。
ことに職場でのストレスが蓄積された状態が続くことは、心臓病のリスクを高めます。規則正しい生活(睡眠・食習慣)に加えて
①副交感神経優位になるリラックスタイムをつくる
②副腎がストレスホルモンを出さずに済む生活をする
③扁桃体が落ち着いていられるように
「好き」「楽しい」「うれしい」を五感で感じられる環境をつくる
こんな習慣がストレスの軽減につながります。また、解消できないストレスは、心理カウンセリングの活用も有効です。
心臓疾患は誰にでも起こるリスクですが、とりわけリスクが高いとされる「タイプA」と呼ばれる人の行動や性格のパターンが、1950年代のアメリカですでに発表されています。タイプAは管理職に多く、心臓疾患のリスクがそれ以外の人の2倍といわます。
次回は、タイプA行動パターンをとりあげます。
参考
ストレス減で心血管疾患リスクも低減か、研究(AFP 2017年1月12日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3113826
目の酷使や緊張が重なると、筋肉が収縮してできたコリが血管を圧迫するため、血流が悪くなります。ストレスを受けた目は血行が悪くなり、疲れ目になる、さらに疲れ目の状態が続くと肩こりや頭痛、吐き気、倦怠感など目以外の場所にも症状が現れる眼精疲労になります。疲れ目は、目を休ませることで回復しますが、眼精疲労を回復させるには、ストレスをためない生活習慣や生活環境の改善が必要です。さらに、目には「ストレスが原因」と言われる病気があります。しかも、見えにくい状態がさらにストレスになるという悪循環を生み出します。
症状はストレスのサイン。健康と視力を失わないうちに、早めの受診を。
ストレスが原因かもしれない病気
眼精疲労・ドライアイ・飛蚊症・中心性網膜症
ストレスがどうして?
過労や人間関係のトラブルで神経をすり減らす生活をしていると、自律神経のバランスが乱れることは、このシリーズで何度かふれてきました。涙の分泌をはじめとする、目のバリア機能もこの自律神経の働きによるものです。
眼球には、お肌と同じように、外からの刺激や異物、感染から目を守るバリア機能があります。その最前線が涙。蒸発を防ぐ油層、酸素や栄養を含んだ涙で目をうるおす涙液層、涙を定着させるムチン層の3層構造になっています。
涙がうるおしている角膜は、コラーゲン繊維ががっちりスクラムを組んで眼球を守ります。その内側の脈絡膜には毛細血管がたくさんめぐり、眼球の新陳代謝を行っています。脈絡膜からの栄養や酸素を受け取って、老廃物を渡す網膜は、眼球の形状を維持する透明なゼリー状の硝子体を包んでいます。その網膜には、異物や不要な物質の侵入を防ぐ、関所のような役割があります。
ストレスは、こうした目のバリア機能にダメージを与えます。たとえば、
・交感神経優勢に傾け、涙の分泌量が減る
・網膜の関所の機能を弱くする
・還元力が弱まり、活性酸素が増える
そのため痛みや不快感、見え方のトラブルが起こります。
涙が十分に分泌されずに乾く、あるいは、不足分を補うために涙が止まらなくなるドライアイ。黒や白の糸くずが飛んでいるように見える飛蚊症は、ゼリー状の硝子体がところどころ液化して、しみ出した水の影が網膜に映りこんでしまうもの。飛蚊症は、加齢が原因と言われましたが、若い人も子どもにもみられます。これは、ストレスによって増えた活性酸素が硝子体で悪さをしたことが原因と考えられます。
なかでも、ストレスがいちばんの原因と考えられる目の病気が、中心性網膜症です。
ピックアップ疾患:中心性網膜症
正式名称は、中心性漿液性脈絡網膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)といいます。
片方の目が物がゆがんで見える、視野の中心が暗いなど、視力が低下したり、見えづらくなる病気です。時期をずらして、もう片方の目に同様の症状が現れることもあります。
目のバリア機能である、網膜の関所が破られて、栄養や酸素以外の不要な水分(漿液)が流れ込み、網膜内にできた水ぶくれで網膜剥離ができて起こります。見えにくくなるのはこのためです。通常は、自然に水ぶくれがひいて、数か月で治るのですが、症状が長引く、両目に起こる、再発をくり返すと、視細胞の機能低下が起こり、視力が戻らなくなるケースもあります。
罹りやすい人
30・40代をピークに20~50歳の働き盛りの男性に多い病気です。発症確率は、男性は女性の6倍です。女性は妊娠中にかかることがあります。発症した人のほとんどが、過労や睡眠不足が重なっているとか、ストレスが溜まっているときに発症しています。目のストレスといえば「光」は切っても切り離せません。ストレスの自覚がなくても、長時間のパソコンの作業、強い光を見すぎる生活など、網膜の許容量を超える光を浴びている場合、発症の原因になります。
20歳前、50歳以降の人は、ほとんど中心性網膜症の症例がありません。50歳以降の人で、似たような症状が現れる場合は、加齢黄斑変性の疑いがあります。この病気も原因はまだ特定されておらず、加齢だけでなくストレスが原因になることが疑われています。
症状
網膜剥離の状況や位置によって、見えづらさに差があります。
・目が弱くなった
・周辺に比べて、視野の中心が暗くなる、欠けて見える、ピンボケする
・物が歪んで見える
・物が小さく見える
・実際の色と違って見える
・近くの物に焦点を合わせにくい
治療のタイミング
片目に起こるので発症に気づきにくく、そのうち治っていることも少なくありません。もし、症状に気づいたなら、眼科での受診・検査をおすすめします。目の疲れを感じたら、片目の見え方がおかしくないかチェックして、見え方の異常を早く発見できる習慣も大切です。
早期回復と予防のためは、ストレスを軽減する生活を送ることです。
①たっぷりの睡眠
徹夜明けや睡眠不足のときの発症が多いのです。
目のバリア機能を復活させるには休ませることがいちばん。
ちなみに、日本人男性の死亡率を最も下げる
質・量ともに最適な睡眠時間は7時間といわれています。
②規則正しい生活
ストレスにつながり、新陳代謝を下げる暴飲暴食は絶対ダメ。
喫煙(血流悪化→網膜の新陳代謝を低下)、
飲酒(眼圧上昇)も回復までは控えめに。
③パソコン・スマフォ使用時の保護メガネの使用
④緑黄色野菜でルテインを摂取する
ルテインは強い抗酸化作用を持つ天然色素。
網膜の黄斑部や水晶体に存在し、ブルーライトの刺激で発生する
活性酸素を還元して眼球を守る、いわば天然のサングラスです。
1日6mg、眼病予防・改善には20mgの摂取が推奨されています。
多く含まれるのは、ケール・大麦若葉・ホウレンソウ・パセリなど。
ホウレンソウなら5株(200g)で約20mg摂取できます。
含有量は少なくなりますが、ブロッコリー、ニンジン、カボチャなど
緑黄色野菜に含まれています。
・毎食、少しずつでも緑黄色野菜のおかず食べる
・パセポン(ドライパセリ)をかける
・青汁(ケールや大麦若葉が多く含まれるもの)を飲む
など、意識的な摂取を心がけましょう。
今流行りのパクチーにも含まれていますので、お好きな方はぜひ。
上記のほか、眼精疲労は軽度のうちにヘッドマッサージでケアする、一人で手放し切れないストレスを抱えたときは心理カウンセリングを利用することで、身体の不調とストレスはこまめにケアしていきましょう。
わたしたちの身体には、体温や心拍数、血圧などの状態を一定に保つ働き、ホメオスタシス機能があります。大きすぎるストレスによってダメージを受けるのは、このホメオスタシス機能。自律神経系、免疫系、内分泌系が打撃をうけます。
とりわけ、めまい・耳鳴りは、ストレスと関連づけられる症状です。
症状はストレスのサイン。健康とコミュニケーション能力を失わないうちに、早めの受診を。
ストレスが原因かもしれない病気
耳鳴り・めまい・良性発作性頭位めまい症・メニエール病・難聴(心因性難聴/急性低音障害型感音難聴/突発性難聴)
ストレスがどうして?
身体の平衡を保つため、脳は五感や筋肉・骨格から情報を収集し、調整しています。めまいは情報が伝達されない、あるいは情報を処理できないため、平衡感覚が保てない状態です。原因は目・耳・脳の病気、加齢、血圧、薬物の影響もありますが、ストレス・過労・睡眠不足が引き起こす自律神経の乱れによって起こりやすくなります。
耳鳴りは、聴覚情報が入らず(聞こえない)伝達されないため、情報処理の過程で誤作動が起こり、聞こえない音(耳鳴り)がしているように錯覚する状態です。耳や脳の病気、高血圧、薬物の影響も考えられます。文字どおり強いストレスやショックで起こる心因性難聴があるくらい、難聴はストレス・過労で起きやすく、またストレスや不安を抱えていると症状が悪化します。
耳鳴りは、音が聞こえにくい状況から始まるため、軽度の難聴が起きていると考えられます。難聴の患者数は最近、増えています。氷室京介さん、大友康平さん、浜崎あゆみさん、スガシカオさん、相田翔子さんも苦しんだ突発性難聴は、ここ10年で患者数が倍増、ことに50~60代に急増しています。30代をピークに20~40代の女性に多いのが「めまいのないメニエール」と呼ばれる急性低音障害型感音難聴(低音難聴)。いずれも、仕事での過労のほか、育児、介護などで「追い立てられるような」ストレスを生活で感じていると罹りやすくなります。
難聴はどれだけ治療を早く始めるかが、回復を左右します。ことに突発性難聴は、おかしいと思ったら理想は2日以内の受診、遅くても2週間以内が推奨されています。受診して問題がなければ、それに越したことはありません。耳鳴りが1日以上続くときは、耳鼻科への「念のため受診」をおすすめします。
ピックアップ疾患:メニエール病
内耳にリンパの水ぶくれができて、平衡が保てなくなることでめまい発作がくり返し起こる病気です。リンパが溜まってしまう原因はストレスが挙げられ、メニエール病を「ストレス病」と断じる医師も少なくありません。重篤なケースでは、内耳の手術が行われることもあります。またメニエール病とよく似た症状の「遅発性内リンパ水腫」は難病指定されています。
罹りやすい人
女性が多いものの、男性がかからないわけではありません。30~50代が多く発症します。ストレス・過労・睡眠不足・精神的な緊張が続いていて発症に至ります。職業では仕事と家事・育児・介護に振り回される主婦がトップで、派遣やシフト勤務など自己裁量の少ない業態、接客・介護・教職の職業が増えています。
メニエール病は標準からやせ型の体型の人に多く、肥満体型の人は少ない傾向があります。「几帳面・神経質・勝ち気」と自己申告する人の割合が高いのが特徴です。また、めまい発作は寒冷前線や低気圧の通過時に増えることがわかっています。
症状
「目が回る」、「天井が回っている」と感じる回転性のめまい発作が突然起こり、10分から数時間にわたって続きます。めまい発作時には難聴や耳鳴りが伴い、吐き気をもよおすこともあります。
めまい発作が年に数回で済む人から、週に2~3回悩まされる人まで頻度はさまざま。めまい発作が命にかかわることはありません。ただし、発作回数を重ねるごとに難聴が進行し、聴力を失う危険性はあります。
治療のタイミング
難聴と同様に、メニエール病も早期発見・早期治療が肝心です。
・目を閉じていてもゆらゆら揺れる感じが止まらない
・横になっていてもめまいがする
・ぐるぐる目が回るようなめまいが何度か起きた
・めまいや耳鳴りがちょくちょく起きる
・一度めまいが起こると20分以上続く
・めまいと同時に耳鳴りや難聴が起きる
・めまいと同時に吐き気をもよおす
・低い音や低い声が聞き取りにくい
・ときどき耳がつまったように感じる
こんな症状が続くときは、めまい相談医・めまい外来への「念のため受診」をおすすめします。「なんでもなかった」という結果なら、それに越したことはないのですから。
予防・発症後の発作の予防は
・過労状態の改善
・ストレスの解消
・十分な休養と睡眠
・適度な有酸素運動
です。一人で手放し切れないストレスを抱えたときは心理カウンセリングの利用が有効です。
メニエール病[PDF]
http://www.secand.jp/work/img/pdf/099-1.pdf
(渡辺行雄・富山大学大学院名誉教授
「第28回日本めまい平衡学会医師講習会」2011年より)
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白髪といえばあまりに有名な「ベルサイユのばら」の王妃マリー・アントワネットのエピソード。死刑判決を受けた恐怖のあまり見事なブロンドが一夜にして白髪になったという、アレです。実際には一晩ではなくて5日だとか、牢獄に幽閉された2か月間でとか、諸説あります。いずれにせよストレスが髪に与えるダメージは甚大です。
症状はストレスケアのサイン。健康と髪の毛を失わないうちに、早めのストレスケアを。
ストレスが原因かもしれない病気
白髪・抜け毛・円形脱毛症・抜毛症(癖)
ストレスがどうして?
髪の色素メラニンをつくっているのはメラノサイトという細胞です。白髪とはメラノサイトが機能不全の状態です。メラノサイトは、神経細胞と同様の性質をもっているため、ストレスのダメージを受けやすく、ストレスによって機能停止を起こします。
ストレスによって代謝や血行が悪くなると頭皮の健康状態も維持できません。ことに亜鉛は育毛に不可欠なミネラルですが、ストレス時には体内で亜鉛が大量に消費されます。そのため育毛に必要な亜鉛が不足しがちになってしまいます。
髪の毛は女性の場合、約5年で成長期→退行期→休止期→脱毛のサイクル(毛周期)をくり返し、1日に約100本が自然に抜けています(季節によって増減あり)。ところがストレスで自律神経の働きが不安定になると、毛周期が乱れて、新しい髪の毛が生えてこないうちに抜け落ちてしまいます。これが抜け毛です。
ストレスの免疫系への影響はより深刻です。外部の刺激から自分を守る免疫システムが、ストレスがきっかけとなり、誤作動を始めることがあります。すると毛根になろうと成長中の毛母細胞や毛母細胞が集まる毛包を攻撃し、成長を止めてしまいます。過剰な抜け毛が起こり、生えてこない脱毛部が見られるのが脱毛症です。
ピックアップ疾患:抜毛症(癖)
「ストレスが原因になる症状①お肌へのダメージ」で紹介した皮膚むしり症と同じく、無意識に髪、まつ毛、眉毛、体毛を抜くことが癖になって止められなくなる、心の病気です。
罹りやすい人
9~12歳の女の子に多いと言われていますが、成人の男女にも起こり、海外の調査では人口の2~4%がかかるとされています。原因は、自分で解決できない不安や不満による現状へのストレスで、うつなど精神疾患の症状の一つ。受験、学業不振、成績・キャリアの下落、学校や職場での対人関係の悪化、厳格な両親が影響するといわれます。
症状
抜毛症は、2つのパターンがあります。一つは、①無意識に髪を抜く癖が習慣化され、止まらなくなるケース。もう一つは「髪を抜きたい、抜かなくてはいけない」という②強迫観念によって起こるケースです。
いずれも「困ったな」「イヤだな」「つまらないな」など不満や不安が起きたとき、タイプ①は無意識に髪を抜いており、タイプ②は「抜きたい」という衝動が起こります。家庭、学校、職場などいつでもどこでも抜毛行為に及びます。本人も周囲の人も異変に気づくのは、髪や体毛が生えてない部位(脱毛斑)ができたときでしょう。健康な髪の毛を抜くことで、皮膚が傷ついて炎症を起こすこともあります。
タイプ②は「抜きたい」衝動が湧き、抜いた直後は落ち着き、満たされてスッキリします。抜毛癖があることを「恥ずかしい」と強く思い、髪を伸ばしたり、帽子、メイク、装飾品、衣服で脱毛斑を隠します。また、「抜毛癖は人から理解されない」という孤独を味わっています。そのため、人間関係を途絶させる、仕事や勉強を辞めてしまう、医療機関への受診をやめる・嫌うなど、自分の殻に閉じこもり、ますます治療を困難にしてしまいがちです。
治療のタイミング
脱毛斑があることが、抜毛症と診断される基準になります。ほかに本人が
・抜毛をくり返している
・抜毛を止めようと何度も試みた
・抜毛が原因で、社会的な生活に苦痛や障害がある
・皮膚病など、ほかの医学的な原因がない
こうしたことで悩み苦しんでいる場合、抜毛症の疑いがあります。本人は治療への抵抗感が強いので、ご家族が本人の悩みや不安をまず「理解する」ことが大切です。そのうえで、心療内科への受診や心理カウンセリングによる心理療法(認知行動療法など)によって症状の改善努力をうながしましょう。
抜毛症に対する行動的介入[PDF]
(2010年「吉備国際大学臨床心理相談研究所紀要」第7号)
http://ur0.biz/BtY3
吉備国際大学の心理相談室での抜毛症の15歳の少女と11歳の少年の事例
ストレスが原因かもしれない病気
帯状疱疹・多汗症・湿疹・じんましん・アトピー・アレルギー性疾患
ストレスがどうして?
ストレスによる緊張やイライラは「かゆみが発生した」という信号になる化学伝達物質を作ります。脳に伝わって「皮膚をかけ!」という司令が実行されると、皮膚のかゆみの受容体がさらに刺激され、かく→炎症というスパイラルが起こるので、湿疹や皮膚炎を悪化させます。
ストレス時の免疫力低下で、ふだんは身体に潜伏するウイルスが抑制できず、発症するのが帯状疱疹。アレルギーの場合は、症状を発生させずにすむ「アレルゲン耐性」をストレスが下げてしまうこともわかってきました。そのため、緊張や不安があると花粉症やアトピーなどの症状が悪化するのです。
じんましんには、ストレスや精神疾患が原因で発症する「心因性じんましん」があります。ストレスを感じるたびにじんましんが発症する人は、抗ヒスタミン剤による治療より、心の負担を軽くすること、ストレスを受ける生活や環境を見直すことが効果的です。
ピックアップ疾患:多汗症
暑いわけでも、運動をしたわけでもないのに、大量の汗をかく病気です。汗をかく場所は、全身に発汗する場合と部位が限定される場合があります。全身の場合は、さまざまな病気由来で起こる続発性多汗症が多く、手のひら、足の裏、脇の下、顔、頭皮など局所性多汗症(原発性多汗症)は原因となる病気がなく、ストレスに起因するとされています。
罹りやすい人
日本人の7人に1人が症状を自覚するくらい身近な病気です。そのわりに、単なる「汗っかき」と思われ、認知度は極めて低いようです。
遺伝的に「汗をかきやすい人」はいますが、それが体質か性格かで異なります。緊張のしやすさなど、遺伝的な性格をもつ場合、多汗症になりやすいでしょう。発症は思春期からですが、幼児のころから自覚する場合もあります。
また、ストレス以外に、交感神経を過敏にする肥満、食生活の乱れ、喫煙も原因になります。
症状
不安や緊張での冷や汗を「精神性発汗」といいます。交感神経が優位になり、汗腺を刺激して、汗が出るのです。不安や緊張が強く、精神的な負担を強いられる状況がつづくほど、交感神経の過剰な働きで大量の汗をかいてしまいます。
ひどくなると汗で「タオルやハンカチが手放せない」「靴の中が汗でビショビショになる」「握手や名刺交換ができない」「ノートや文書が破れた」「パソコンやスマフォなどが壊れた」といった生活や対人関係で支障が出る場合もあります。汗が気になって、緊張して、さらに発汗するという悪循環に陥ることもあります。重症になると、発汗が毎日、数時間から終日つづくケースも。そのため「人間関係がうまくいかない」「恥ずかしいから人前に出たくない」と、家に閉じこもるなど、対人恐怖、社会不安、うつを引き起こす原因になることもあります。
治療のタイミング
明らかな原因がなく、局所的に過剰な発汗が6か月つづいていて、次のガイドラインで2つ以上当てはまる場合、原発性多汗症の可能性があります。
・最初の症状は25歳以下
・汗は身体の左右対称にみられる
・睡眠中は止まる
・週に一度以上、症状が出る
・家族に同じ経験をもつ人がいる
・日常生活に支障をきたす
皮膚科の受診で症状が軽減され、生活面に支障がでなくなりますし、汗そのものがストレスにならなくなります。また、最近では多汗症外来もあります。
また、皮膚科での治療と併せて、心理療法(認知行動療法、自律訓練法、催眠療法)も有用です。日常生活に支障をきたしている場合、ストレスケアで症状が改善できる可能性は高いです。
重症の多汗症、80万人 有病率、米国の2倍
厚労省研究班が初調査(共同通信2010/05/11)
http://www.47news.jp/feature/medical/2010/05/post-322.html
ストレスは、血流を悪化させ、自律神経のバランスを乱し、免疫力を低下させます。だから、身体症状が出るのも当たり前ですし、多岐にわたります。今回はお肌への影響をまとめました。
症状はストレスケアのサインです。
健康を損なわないうちに、早めのストレスケアを。
ストレスが原因かもしれないトラブルや症状
乾燥肌・肌荒れ・肌のかゆみ・ニキビ・皮膚むしり症(癖)
ストレスがどうして?
ストレスによって免疫力が低下すると、お肌のバリア機能が弱まります。そのため、紫外線・乾燥・寒さ・暑さなどの刺激への影響を受けやすい敏感肌になります。これが肌トラブルのもと。ターンオーバーのサイクルも乱れるため、治りにくく、ひどくなったりしがちです。男性も女性も、ニキビが増えた、お肌の状態が急に悪くなったときは、ストレス注意報。知らず知らずのうちに、何かがストレッサ―になっていたり、ストレスを溜めているかもしれません。
ピックアップ疾患:皮膚むしり症(癖)
無意識に手や顔の皮膚をむく、かきむしるなど、傷つけることが止められなくなる心の病気です。
罹りやすい人
男女比では、圧倒的に女性が多く、成人の100人に1人は皮膚むしり経験があると言われます。思春期に発症することが多い病気で、一過性で治ることもあれば、大人になってからもストレスを溜めたときくり返す人もいます。
発症の原因の多くは、学校での対人関係、家庭環境、生活面の大きな変化によるストレスなど。思春期は、活動範囲や交友関係が広がりますが、同時に両親の保護から離れ、受けるストレスも多くなる時期だけに「気がついたら癖になっていた」というケースがよくあります。
症状
カサブタや硬くなった皮膚をはがしたりやニキビをつぶしたりがきっかけになることも少なくありません。次第に「皮膚をむしったり、はがしたりしないでいられない」という強迫的な衝動が生まれます。実際、神経症や強迫性精神障害の患者さんによくみられる症状です。
皮膚むしりをくり返すうちに真皮まで届く深い傷になり、激痛を伴うことも。それでも止められません。
本人はかきむしる癖を「恥ずかしい」と思うため、自覚すると服で隠れる部位をかきむしるようになります。さらに、人に会うのがいやで外出しないようになったり、引きこもることもあります。
治療のタイミング
・皮膚を傷つける行為を行う
・行為そのもののことを考える
・行為をしたい、または止めたいと思う
毎日、どれかを行っている場合、早めに精神科・神経科の受診がお薦めです。本人は気づきにくいため、家族や友人の行為や癖に気づいたら、教えてあげることも大切。毎日、行うようになる前に、癖に気づけばカウンセリングでストレスの原因に向き合い、ケアを行うことで、重症化を防げます。
ザ!世界仰天ニュースで紹介されたアンジェラのケース
http://www.ntv.co.jp/gyoten/backnumber/article/20160217_02.html
横浜の開花予想は現段階で3/26ごろ
変化のタイミングは突然やって来る
~その人にしかできない形で
クライエントの方の変化は突然、およそ教科書に書いてあるような技法だの療法だのとはかけ離れたところで起こります。他の人から見たら、少し型破りかもしれません。だけど、この人だからこその花を、この人にしかできない咲き方で、それはそれは見事に咲かせるのです。わたしのような無能カウンセラーは、ただただそばで「うわあ、すごい」「素晴らしいですね」とびっくりして感動するばかりです。たとえば
今までとまったく違う方面でのキャリアを築く
→健康不安・経済不安がまったくなくなる
今まで以上のレベルのコンディションや経済基盤を得る
今までとまったく異なる場所に生活の場を移す
→今までできなかったことが可能になる
今までとまったく異なるキャリアを形成する
出会い・結婚・離婚
→日常が安定して、暮らしが充実する
家族が増えて、団結力が増す
もちろん最初は、どの方もそれはそれはご苦労なこと、お悩みなことがあったのです。ところが、カウンセリングを自分と向き合う時間として習慣にされて、ある期間を経過すると、契機が訪れて突然何かが変わります。あとは、もう自由自在に進化しまくるのです。
桜は厳冬をリソースにする
~寒さはリスクだけでない
昨日、SNSで2017年の開花予想についてつぶやいてから、桜の開花のメカニズムに興味が湧いて読んでいたら、クライエントさんたちの自己変容によく似ていることに気づきました。
桜は来年のつぼみの準備を夏からはじめます。秋、夜が長くなり、気温が下がってきたことを感知すると休眠ホルモンを出して、狂い咲きしないように成長を止めます。その後、低温で一定の休眠期間を過ごし、さらに冷え込んだ真冬の厳しい寒さによって目覚めます。
寒さは、わたしたち生き物にとって生命や健康のリスクですが、桜はリソースとして活用しているようです。決して寒さに耐え忍んでいるのでなく、むしろ寒さによって休眠に入り、さらに厳しい寒さの刺激で覚醒します。
そして春、気温が上昇すると、一気につぼみは膨らませ、見事な花を咲かせます。こんな咲き方は桜にしかできません。
あなたは遅咲き?早咲き?
~休眠期間は人それぞれ
低温での休眠期間がどのくらい必要かという目安の低温要求度は、桜の品種によって異なります。ソメイヨシノの場合、9℃以下で800~1000時間。早咲きの品種は低温要求度が低く早く目覚めるため早く咲き、逆に遅咲きの品種は低温要求度が高いため、開花までほかの桜より時間がかかるのです。いずれの品種でも、低温要求を満たす休眠を十分に得られてはじめて覚醒が訪れます。
桜も休眠中は、どんな刺激を与えてられても成長ははじめません。最適な時期に開花するために、自分の体を寒さとシンクロさせて最適な成長のタイミングの到来に備えるのです。
覚醒のタイミングは必ず訪れる
~ともに寒さを味わう冬は創造的な時間
人の自己変容も桜の開花によく似ています。
桜が寒さとシンクロするように、問題や悩みを受け容れ、その意味や価値を十分に体感したとき覚醒が訪れ、一気に開花へと向かう、そう考えると、クライエントさんたちの華麗な自己変容も納得できます。
寒さを味わう休眠期間にカウンセラーができることは余計な刺激を与えることでなく、そばにいて寒さを一緒に味わうことだけです。けれど、クライエントの方の中では確実に覚醒への準備は始まっています。低温要求度がどのくらいの期間かは、お一人お一人異なりますが、どなたにも必ず覚醒のタイミングは訪れます。
寒さを味わいながら一緒に過ごす冬は、わたしたち生き物にとって、死の時ではありません。むしろ、とても創造的な時間なのです。そんな冬も、もう終盤。季節が移りゆく中で、名残の寒さを楽しみましょう。覚醒の日を夢見て、焦らず、じっくりと。
参考:
視点・論点「春を待つ桜」NHK解説員室
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/236160.html
2017年桜の開花・満開予想(第1回)
https://n-kishou.com/corp/news-contents/sakura/news2017.html
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元日に立てた一年の計がそろそろあやふやになってくる今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
さて、カウンセリングでもクライエントさんといっしょに目標の実現をめざすことが多いのですが、そんなときの工夫をご紹介します。ほかにもありますが、ゴールに到達するまで安全に継続できる5つを厳選してみました。
1.実現のリソースを調べて集める
2.実現したら困ることを確認する
3.負のリソースを遮断する
4.失敗したら、自分を慰める
5.仕切り直しはしない
昨今の喫煙に対する肩身の狭さから「禁煙」を一年の計にした愛煙家を例に、継続のコツをまとめてみます。
1.実現のリソースを調べて集める
~リソースが多すぎて困ることはない
幸い、現在の世の中は、喫煙者には厳しい目を向けられるけれど、禁煙を決意した愛煙家にはあたたかな目でやさしく見守ってくれます。
禁煙をサポートしてくれる方法もニコチンガムや禁煙パイプ、ニコチンパッチ、そして禁煙外来までさまざまあります。
もし身近に禁煙に成功した人がいれば、きっと喜んで応援してくれるはずです。どんなことに苦労したとか、挫けそうになったときどうやってモチベーションをキープできたのかとか、知っていたら禁煙のつらさを乗り越えられる情報の宝庫です。
また、家族や友人、同僚に禁煙を宣言すれば、ときに励ましたり、褒めたり、監視してくれたりするでしょう。
こうしたリソースは、うまく活用すれば目標の実現がぐっと近づきます。
ただし、失敗したとき「あれが効かなかったから」という責任転嫁のリソースにもなります。だから、1だけではダメで、2~4の工夫が必要なのです。
2.実現したら困ることを確認する
~無意識を抵抗勢力にしない
リソースが溢れているのに、継続できず失敗に終わる、それはあなたが悪いわけではありません。意思とか、根性とか、性格とか、まったく関係ありません。
じゃあ、何が足りないの?というと無意識との対話です。
一年の計を立てた、ということはそれだけの強い決意があったということです、少なくとも目標を立てたときには。そのとき、禁煙して得られるメリットは十分に確認したはず。だからこそ、厳しい決断をしたのでしょうし。
この決断をしたのは、あなたの意識です。
逆に無意識は、今まであったタバコが失われたときのデメリットを回避するため猛烈に働きます。つまり、意識とは逆の方向性に、タバコをやめさせないようにがんばるわけです。
こうして「やめたい」意識と「やめたくない」無意識がケンカする葛藤状態が起こります。残念ながら、意識と無意識のケンカでは、勝者は無意識と相場が決まっています。
無意識は「止めたら困る」という不安からあなたを必死に守っているのです。協力してもらうには、無意識を安心させてあげることです。
メリットを確認して決意したのと同様に、タバコを吸わなかったら困ること、禁煙のデメリットを確認してください。そのうえで、これからの人生からタバコが失われても大丈夫、十分やっていけることを確かめてください。
健康とか社会性とかを理由に論理的に「吸わないほうがいいんだ」と説得しても無意識には通用しません。疲れたとき、お酒を飲んでるときの紫煙がなくても、困らない、大丈夫、寂しくない、楽しくやっていける、と安心できたとき、無意識は納得して、禁煙に協力してくれます。
3.負のリソースを遮断する
~実現への落とし穴を調べて遠ざける
数多ある禁煙を助けてくれる手段・方法・工夫を、好みや予算に応じてダブルでトリプルでと重ねること、それは効果的です。リソースが多いことに越したことはありません。
でもその前に、禁煙にブレーキをかける、タバコを吸わせたくなる存在も多々あります。こうした目標実現を阻む負のリソースは、事前に遠ざけておく必要があります。そして、プラスのリソースと同様によくリサーチする必要があります。なぜなら、ゴールへの途上にあると知らず知らずのうちにハマってしまう「落とし穴」になるから。
たとえば、タバコならば、禁煙を応援するグッズと同様に、喫煙を後押しする食品添加物があります。代表的なものでは
①メンソール
スーッとする粘膜への局所麻酔作用、煙を吸いやすくする
②砂糖
アセトアルデヒドがニコチン毒性への自覚をやわらげ、
ニコチンを吸入しやすくする
③カカオ
テオブロミンの気管支拡張作用で煙を吸いやすくする
④カフェイン
カカオのテオブロミン同様、気管支拡張作用がある
⑤アンモニア
粘膜をアルカリ性にし、ニコチンの吸収を早める
参考:CareNet「タバコを吸いやすくする添加物」http://urx.blue/B3i6
アンモニアは小麦たんぱくに多く含まれるほか、麺のかん水や洋菓子の膨張剤として使用されています。
小麦粉が原料の食品やお菓子、チョコレート、コーヒーを身近に置いているのは、「1本だけ」と手を出す理由を自分のために用意しているようなものなのです。
バーや酒席、喫煙所や灰皿があるお店などタバコがOKなシチュエーションも、同様に禁煙が達成されるまでは、遠ざけておくのが無難な負のリソースになるでしょう。
4.失敗したら、自分を慰める
~失敗してもおしまいじゃない
さて、誘惑に負けて禁を破ってしまったとき、どうしましょう?
元旦の計があやふやになってきた今日この頃、「もうどうでもいいや」が起きて、「ハイハイ、アタシはどうせ意思が弱い三日坊主ですよ、な~んにも長続きしませんよ」と開き直ったり、禁煙したこと自体を後悔するかもしれません。最悪なのは、自分を責めることです。
だって、あなたはちっとも悪くありませんから。むしろ、数日間か少なくとも数時間、禁煙できたことは立派でした。誘惑には負けましたが、ゴールへの道が途絶えてしまったわけではありません。失敗は失敗、でもここまでの自分のがんばりも正当に評価してあげなければアンフェアです。
「惜しかったね、大変だったね。
そうね、禁煙は楽じゃないよね、苦労するよね。
うん、実際つらかったもの。
それがわかっただけでも上出来だったじゃない!?」
ここは、しっかり自分を労い、慰め、癒してあげましょう。
5.仕切り直しはしない
~今、できることをつづけよう
失敗を受け容れて、しっかり癒して、よしがんばるぞ!と再チャレンジを誓うとき、「今日は1/19。じゃあ、新ためて2/1から始めよう!」と仕切り直す人が多いと思います。
でも、ちょっと待ってください。あと10日以上、禁煙から離れちゃうんですか? 一般的に、1日寝たきりになると低下した筋力を取り戻すのに1週間かかると言われます。1週間寝たきりだと1か月です。もし10日も禁煙から離れちゃうと、身体がせっかく慣れてきた禁煙モードを取り戻すのに、すごく長く時間がかかります。明日から急に禁煙モードになれ、というものまた大きなストレスになります。
失敗しても、まだ禁煙モードになっているこのコンディションを維持しましょう。理想は、「誘惑に負けて1本吸っただけ」なら、「今日は誘惑に負けたけど、それでも禁煙は続ける」ですが、失敗のショックがあるなら、ハードルをぐっと下げてもかまいません。あまりに楽ちんだから、明日といわず、今日からできる禁煙努力を続けてください。たとえば、2回に1回我慢するでもいいし、食後は1本だけにするでもいいし、そんな感じで減煙・禁煙準備を継続しましょう。
毎日、できたことを褒め、喜んでください。
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厳しすぎる目標は適宜、見直しすることができます。目標実現のメリットを理解し、実現によるデメリットへの不安が解消されていれば、いずれゴールに到達できます。
失敗しても、あなたはまったく悪くないので、諦めたり、自暴自棄になったり、責めたり、後悔したりしないで、今できるペースで続けてください。
わたしはあなたが必ず実現することを信じています。
]]>「ビタミンM(メンタル)」とも呼ばれる葉酸は、
野菜にたっぷり含まれています。
明治6年文部省刊行『博物図』の1ページ銅版画+木版画
国立公文書館@JPNatArchivesより
うつ病の治療補助剤としても用いられる葉酸に含まれる
5-メチルテトラヒドロ葉酸は、脳内の神経伝達物質である
セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの合成に必要不可欠で、
気分をリラックスさせたり、精神を安定させる効果があります。
うつ病の人の食事を調べてた結果、
約80%は葉酸不足に陥っていました。
ほかにも、煙草を吸う人、お酒をよく飲む人、
痛み止めやピルを服薬している人は、
欠乏傾向になりがちです。
また、赤ちゃんの脳や脊髄、臓器、血液をつくるため
妊娠初期に欠かせないほか、
妊活中の人(男性も女性も)を応援する栄養素。
正常な卵子の形成、精子の運動量アップ、
着床率アップ、流産予防に効果があります。
野菜で摂取する場合、加熱すると、
半減してしまうので生食がおすすめ。
ほかのビタミンや酵素も摂れます。
葉酸をたっぷり補給して、元気な心で残暑を過ごしましょう。
★葉酸を多く含む生食できる野菜(100g中含有量)
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