少し追加します。
氏は、こう書いています。
「ものごとはいろいろな角度から光を当てれば、違った姿が見えてくるものです。世のなかのできごとを一方的に白だ黒だと決めつけて、黒を痛めつけたり、単純な犯人探しをする--こうした二分割的発想は思考の退化であり、人間の幼児化です。日本社会にこのような退行現象が起きていることに、私たちは本当に気がついているのでしょうか。」
かつて大蔵省の国際金融担当として活躍された、榊原英資さんが書いた「幼児化する日本社会/拝金主義と反知性主義」を読みました。 第1章 子供の世界は大人の鏡 第2章 家族の変質 第3章 教育の混乱 第4章 企業倫理の崩壊 第5章 マスメディアの堕落 第6章 規制緩和と地方分権の落とし穴 第7章 地方の瓦解 第8章 ポスト産業資本と新しいコミュニティ 付 章 二分割思考は知的退行 バブル崩壊から現在まで、日本社会が一生懸命模索してきたものの、「何か変になってるんじゃないか?」と思う社会現象のほとんどにについて論じられていて、面白い。なかなかタイムリーな出版だ。 特に「教育」「マスメディア」「地方」などは緊急課題で、彼の言うことに共感できる。 最後の付章(「二分割思考は知的退行」)で紹介している、脳神経内科の金澤一郎先生(氏の友人)の「脳を活性化するための三つのアドバイス」も面白い。 それは、 1.「解答は必ずしもない」と知ること。 2.「常識を疑え」 3.「部分的なもので全体を測るな」 だそうです。 確かに、特にマスメディアで「二分割思考」が蔓延しているように思います。 |