短編集です。 『返事はいらない』: 失恋から自殺を決意し、ひょんなことからコンピュータ犯罪の片棒を担ぐことになる微妙な女性心理の動きを描いています。「時効警察」にも通じるものが・・・。 『ドルシネアにようこそ』: ディスコや駅の伝言板など、懐かし言葉が出てきますが、内容は今も新鮮です。 『言わずにおいて』: 「やっと見つけた!」その言葉を最期に、車は横転し爆発した・・・。その車の運転者をたどっていくと意外な事実が判明する。 『聞こえていますか』: 引っ越し先の家の元の住人は一人暮らしの老人。その老人の電話に盗聴装置が・・・。 『裏切らないで』: 代表作のひとつである『火車』の原型ともいえる作品。簡単にカード・ローンで借金ができる社会への批判がそれとなく書かれています。 『私はついてない』: 結婚指輪ともう一つの指輪。香水に詳しくなった少年と、従姉弟。ひょんなことから親しい後輩をだます先輩OLと後輩。事件の中で女性の心理が描かれています。 の6編を収録。 東京というひとつの世界をテーマに、心温まるストーリーやちょっと不思議な展開を楽しく描いています。 短編なりの楽しみ方ができる作品ですね。 ★★★★☆ |