・・朗読とピアノのアンサンブル・・ 冬色の物語り 2月27日昼の部、三鷹市芸術文化センター 主催:原きよ事務所 原きよは高校の後輩で元大分放送の局アナ。 現在はフリーアナウンサーのかたわら 朗読家。 現在の地元三鷹市ゆかりの作家 太宰治を好んでとりあげ ついには太宰のふるさと津軽(五所川原市)金木で 朗読ライブを行うにいたる。 今回はピアニスト渡辺秋香とタッグを組んでのリサイタル。 原きよは、春めいた和服姿で登場。 以前、「音楽をBGMに使う演出は好きではない」ということを 原きよ本人から聞いていたので 今回のプログラムには正直「おや?」と思った。 舞台中央に木製長いす。 上手後方に木製いすとトランクケース 下手のピアノとのあいだにも木製いすとトランクケース。 原きよはこの3か所で朗読をし、朗読劇を演じる。 「雪後」梶井基次郎(抜粋) 「冬の曇る日」草の天平 「雪」山村暮鳥 ピアノはBGMではなく 朗読と朗読とをつなぐブリッジの役割をしたり 話の場面転換を告げるジングルを生演奏。 どのような曲を使うかは ふたりでリハーサルをしながら決めていったという。 演奏の間に、原きよはしずしずと次のいすへと移動する。 (いすはあったが座らなかった) 「手袋を買いに」新美南吉 狐の親子が子ども用の手袋を買いに町に出てくる。 母狐は子どもの片「手」を人間の手に化けさせて 「戸の隙間から差し入れて 『この手に合う手袋ください』と言うのよ」 と子狐に言い含めるのだが あろうことか、子狐は差し出す「手」を間違えて。。。 朗読と言うよりも朗読劇・ラジオドラマのあんばい。 原きよの子狐役が実にかわいらしい。 小柄な彼女の体格が子どもらしい発声をつくりだしている。 「こがらしのふくばん」小川未明 「雪渡り」宮沢賢治(抜粋) きっくきっくとんとん・・・ 子どもの頃に読んだきりの賢治の作品だが この独特の擬音を覚えていた。 「霜柱」宮本百合子(抜粋) 「追憶の冬夜」寺田寅彦 ピアノ <休暇の日々から>Ⅰお祖母さまが撫でてくれる セヴラック作曲 ようやく、本格的ピアノ演奏となった。 昔、NHK-FMで放送されていた「クロスオーバー・イレブン」は 曲のあいまに朗読が挿入されていたが ここでは朗読の合間にピアノ演奏。 それでも、朗読の終わりに演奏が始まった瞬間 「クロスオーバー・イレブン」を思い出していた。 「葉」太宰治(抜粋) ピアノ 即興曲第14番 第15番「エディットピアフをたたえて」 プーランク作曲 NHK-FM「名曲リサイタル」でも活躍している渡辺秋香の 本格演奏が後半だけというのは 贅沢というか、もったいないというか もっと聞かせろ、というか。 「雪の夜の話」太宰治 雪は都会のみにくい景色を覆い隠す。 そのすばらしさに我を忘れ おみやげのスルメを落としてしまった女学生が 妊娠中の兄嫁へのせめてものおみやげとして 雪景色を網膜に焼き付けて帰宅する。 という原作だったと思うのだが 原きよがやると、女学生というか、小学生というか。 ちゃんと原きよの世界になっているので けっして悪いことではない。 ピアノ たけ『津軽』より 藤田勉作曲 全体の後奏曲ですな。 ピアノがBGMになるのではなく ピアノと朗読がバトルになるわけでもない。 面白い試みではありました。 画像は原きよさん。 |