メディフェスの分科会
20日13時から、<徹底討論「貧困の報道」と「報道の貧困」>のテーマで開きます。
以下のパネリストで
▽パネリスト
岩淵弘樹さん(映像作家・フリーター、「遭難フリーター」制作)
今井精一さん(機関紙協会・「日刊雑草」1万号の立役者)
神内美香子さん(CS放送=教育・科学映像番組制作者)
▽コーディネーター
美浦克教さん(通信社社会部記者、元新聞労連委員長、
ブログ「ニュースワーカー2」主宰)
岩淵さんの感覚、学ぶところが多いので
メール転載の了解を得たので、読んでいただければと思います。
> 今回参加させていただきます岩淵弘樹と申します。
>
> 簡単な自己紹介です。
> 1983年生まれ。26歳。東北芸術工科大学映像コース卒業。卒業
> 後、内定をもらっていた地元仙台の出版社に就職する予定でし
> たが、1単位足らずに留年してしまい、内定取り消しとなり、
> フリーター生活が始まりました。
> 2006年3月より、実家仙台から東京で暮らしたいと思い、しか
> し貯金もないため、住み込みで働ける職場をコンビニに置いて
> あった就職情報誌から探していたところ、派遣会社日研総業を
> 見つけ、埼玉のキヤノンの工場で派遣生活開始。
> 同時に自身の生活を家庭用のハンディカムで撮影し、2007年3
> 月まで勤めました。2ヶ月で編集をし、同年の山形国際ドキュ
> メンタリー映画祭NEW DOCS JAPAN部門にて上映。その縁で2008
> 年香港国際映画祭、ドイツ・ニッポンコネクション、ロンドン
> ・レインダンス映画祭で上映。
> 2009年2月に当時の日記を書籍化した「遭難フリーター」を太
> 田出版より発売。4月、渋谷ユーロスペースを皮切りに全国上
> 映が開始。
> 現在は無職で、たまに文芸誌にエッセイを書くなどしながら生
> 活しております。
>
>> ●「貧困」「報道」「メディア」などをキーワードとして「当
> 日はこんなことを話したい」という点を、事前にお知らせくだ
> さい。
>
> 私はジャーナリストを志望したことはなく、あくまで映像を通
> して表現活動をしたいと考えておりました。大学では映画を志
> しておりましたが、友達も少なく、個人で制作出来るものとし
> て、セルフドキュメンタリーという手法で作品を作っていまし
> た。「遭難フリーター」も、自分の身の回りをテーマに扱えれ
> ばということから始まりました。
>
> 当時、キヤノンの派遣社員であった私は、テレビで同じように
> 貧しい生活をしている若者の番組(NHK「ネットカフェ難民」
> やNTV「ネットカフェ難民」)を度々見るようになり、モザイ
> クで顔を隠した彼らと遜色ない生活をしている自分は、ただ悲
> 惨なだけじゃない生きている人間の表情を伝えられればと思っ
> ておりました。
>
> 映画の反応は賛否が別れ、「もっと社会に怒るべきだ」とか、
> 「(年配の方から)若い時は自分もこうだった」とか、様々な
> 感想をいただきました。そのどれもが、観客の方々の経験や立
> 場から個別に発せられたものであり、メディアが伝えている「
> 貧困」の報道とはちょっと色の違う反応があったのではと思っ
> ております。
>
> それと、映画の公開後にフジテレビの報道番組で取材ディレク
> ターとして派遣切りにあったホームレスを多くインタビューし
> て回りました。文面で伝えるのが難しいのですが、テレビカメ
> ラ→私のカメラ→被写体、と二段構造で撮影は行われ、私はテ
> レビの側にも多くの薄給のADがいることから、カメラを逆転出
> 来ればと考え、実際に制作スタッフにもカメラを向けましたが
> 、やはり番組としては伝え難いということで、ボツになりまし
> た。その企画自体も2ヶ月ほど取材は続きましたがお蔵入りに
> なりました。
>
> テレビで伝えようとすることは、事前に構成を準備し、街頭イ
> ンタビューで必要な声をハンティングするような形で行われ、
> 最初から結論を導き出すような作りとなっていることに私は不
> 満を持ちました。結論が見えない状況を記録していくことがド
> キュメンタリーの面白さであり、スリリングな面でもあると思
> いますが、限られた予算であるとか、スポンサーとの兼ね合い
> であるとか、多くの不合理を突き抜ける力がジャーナリズムに
> 必要なことなのかなと思います。
>
> とはいえ、私は今もジャーナリストを志向しているわけでもな
> く、身の回りから伝えられることは何だろうと模索しておりま
> す。映像に関して言えば、充分家庭用の機材で映画は作れます
> 。ですから、これから多くの方に自分にしか語れない映画をど
> んどん作っていってもらえたらいいなと思っております。
>
> 長くなりましたが、当日色々な話になれば面白いなと思います
> 。美浦さんの仰る通り、少しでもヒントを考えられる場になれ
> ばいいなと望んでおります。
>
> よろしくお願い致します。
>
> 岩淵弘樹