春先に体調を崩した。病院に行ったところ「軽いうつ病」と診断された。年度末、休日返上で仕事をしてきた結果だった。 自分がうつ病になって気がついたり、感じたりすることがある。 「東京ではこうしなさい」という社会的コード(暗黙のルール)があり、それが強まっていることだ。 バス停でバスを待つときに並ぶ習慣は一見合理的だが、京都の人たちは「だれが自分よりも先に来たのか分かっているのになぜ並ぶ必要があるのか」と言う。ばらばらにバスを待っているようで、実際バスに乗るときにはバス停に来た順番で乗り込むというのだ。 アロハシャツのデザインにも、東京のものにはあそびがない。関西のもの、あるいは沖縄のものにはデザインにあそびがあり、見るものを楽しませてくれる。しかし東京のアロハシャツにはあそびがない。だから、ホテルの夏の制服にも採用されるし、私服であっても制服のように見えてしまう。 あそびは、余裕とも言える。バス停で並ぶのは、一刻も早くバスに乗り込みたい余裕のなさの現れであり、制服に見えるアロハシャツも余暇への罪悪感の裏返しではないか。 震災以降、この「余裕のなさ」が強まっている。上司のパワハラやブラック企業も企業経営の余裕のなさの現れだろう。私も病気に追い込まれた企業で「安い給料で長時間働くものだ」「通勤で片道1時間かかるのはあたりまえだろ」と、上司から露骨に言われた。それがパワハラ(パワー・ハラスメント)に当たるという自覚はまったくないようだった。 日本では毎年3万人以上の人たちが自ら命を断っている。人口比で言えば、東京では3000人以上の人に相当する。 |