「東京電力は早くつぶれた方がよい」 大田区の町工場勤務に勤務している弟でさえもが言います。 東京電力(東電)は 東日本大震災で事故を起こした福島第一原発を 安全な状態になるよう処理しなければなりません。 同時に 避難を強いられた多くの福島県民に賠償もしなければなりません。 ふつうに考えれば 天文学的数字のお金が必要で とても一企業で支払いできるものではありません。 これまでは安価に抑えられてきた 事業者向け(大口需要者向け)電気料金も値上げされました。 「中部電力(中電)から安く買えるものなら買いたい」 弟がこう言うのは 彼の勤める会社が金属の熱処理をしているため 大量の電気を使うからです。 現在、東京で中電の電気を買えないのは 東電、中電それぞれの営業地域が 国によって決められているからです。 経済産業省は今後、電力の自由化を進めると言っています。 しかし、営業地域の垣根がなくなるだけでは 真の電力自由化とは言えません。 日本よりも先に電力が自由化したイギリスやドイツでは ちょっと割高でも安心安全な自然エネルギーの電気か 安いけれども、温暖化問題には後ろめたい石炭火力発電所の電気か 消費者が自分で選べるようになってます。 (もちろん、複数の発電方式を組み合わせた電力会社もあります) 現在の日本で電力の自由化が行われたならば 原発の電気を買うのは 国の言うことを信用している一部の家庭と 電力会社にとっては利益の少ない大口需要者に 限定されることでしょう。 これでは、東電の経営がたちまち破綻することは 火を見るよりも明らかです。 「全てのことは市場が決める」 ふだん、こう発言している 市場至上主義の人たちが こと、電力問題に関しては口をつぐんでいるのは どうしてでしょうか。 「原発は日本の生命線」であるかのような 発言をしているのは、どうしてでしょうか。 * * まがりなりにも東電が存続し続けているのは 政府が多額のお金を投入しているからであり 東電が福島県民への賠償を怠っているからです。 (抑えるのは金の流出ではなくて、汚染水だろ。 と、いやみの一つも言いたくなります。) 東電に投入されているのは、私たちの税金であり 本来は賠償に使われるお金が東電存続のために使われる。 二重に問題があると言わなければなりません。 東電を存続させることには 経済的とは言えず 人道的とも言えないのです。 |