BSE検査緩和と米国産牛肉輸入解禁の?な関係 その1 アメリカ産牛肉の安全性が疑わしい 昨年(2013年)、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定をめぐる 交渉が行われているのと平行して 日本のBSE(狂牛病)対策が緩和され、 時を同じくしてアメリカ産牛肉の輸入が再開されました。 安いアメリカ産牛肉を食べて喜ぶ市民の姿を マスコミは繰り返し報じていましたが アメリカ産牛肉の安全性が確認されたのかどうか よくわからないままの輸入再開でした。 改めて『政府広報オンライン』で「新たなBSE対策がスタート」 http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/2.html を、見てみると。。。 「BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy =牛海綿状脳症《うしかいめんじょうのうしょう》)とは、 牛の脳や脊髄(せきずい)などに BSEプリオンと呼ばれるたんぱく質が蓄積し、 脳がスポンジのようになる病気です。」 「原因は、BSE感染牛の脳や脊髄などを含む部位を 原料とした肉骨粉(にくこっぷん)を、 別の牛に飼料として食べさせたこと」として、 これまでは次の対策が取られてきました。 ・肉骨粉などを牛用飼料として利用することを禁止 ・牛の脳からサンプルを採取し、BSEプリオンの有無を検査 ・BSEプリオンが集中して蓄積しやすい牛の脳や脊髄、回腸(かいちょう)の一部などを 特定危険部位と定め、除去・焼却(義務) この結果、 「平成14年(2002年)2月以降に出生した牛からはBSEが発生していません」 「BSE感染牛が(略)平成22年(2010年)以降は確認されていません」 という成果がうまれ、 規制が緩和されることになったと説明しています。 そして、次のように緩和されました。 ・BSE検査の対象月齢を48か月齢超に引き上げ 自治体による自主的に全頭検査の終了。 ・特定危険部位のうち、「頭部(舌・頬肉以外)」「脊髄」「脊柱」については 30か月齢超の牛を対象とすることに変更。 「扁桃」「回腸遠位部」については従来通り、全月齢が対象。 「48か月齢超」「30か月齢超」の根拠は 文章からはよくわかりませんが 内閣府食料安全委員会のつくったグラフ 「BSE感染牛の推定摘発年齢分布(EU)」が添えられていて 満3歳(36か月齢)を過ぎると0.02の確率で狂牛病の牛が摘発されるようになり 満4歳(48か月齢)を過ぎると0.10の確率で狂牛病の牛が摘発される ことを示しています。 一方、アメリカ牛肉の解禁については、 「世界でのBSE発生頭数は(略)2012年には21頭と激減し、BSE感染リスクが大きく低下しました」 という理由にならない理由しかありませんでした。 しかも添えられたグラフ「発生頭数内訳」を見ると、 2012年の21頭のうち1頭はアメリカで発生していることがわかります。 『政府広報オンライン』担当の職員は、かなり正直な人だったようで これではとても「アメリカの牛肉が安全になったから」と 日本の消費者に納得させることはできないと考えたのでしょう。 アメリカ政府が、日本の消費者感情を無視して 牛肉の輸入再開をかなり強引に迫ったことがうかがわれます。 (つづく) |