パーム油を原料とした合成洗剤の話をしたいと思いますが そのまえにクイズです。 Q:石けんと合成洗剤と、どちらが環境によいですか? 「がんこな汚れが落ちる」とテレビで宣伝されている合成洗剤、 台所用洗剤でも油ものが良く落ちるので 使っているお母さんも多いことでしょう。 油汚れを落とす洗浄力を生み出しているのが 界面活性剤です。 界面活性剤は、ひとつの分子の中に 油に溶ける部分Aと 水に溶ける部分Bと があります。 このためにAを油に向けて包み込み Bを水に向けて溶け出すのです。 石けんも同じような働きを持っていますが 油をすぐに放してしまうため 油分が手や洗い桶についてしまうことがあります。 このように 洗浄力では優れているように見える合成洗剤ですが 問題は洗った後にあります。 というのも 下水処理場では、基本的に バクテリアを使って 水をきれいにします。 バクテリアに汚れを食べてもらうのです。 石けんは天然成分なので バクテリアは喜んで食べてくれます。 界面活性剤は石油からつくった合成物なので バクテリアは食べてくれません。 他の方法で除去する必要があります。 石けんや合成洗剤が海や川といった 自然界に流れ出したらどうなるか 実験をした人たちがいます。 2つの水槽に同じ量の海水を入れ 同じ数のアジを入れます。 これに同じ濃度の石けんと合成洗剤を入れます。 合成洗剤を入れた水槽は とくに濁るわけでもないのに アジたちは必死のジャンプを始め 水槽から逃げだそうとします。 そして5分後には力尽きて 全部のアジが死んでしまいます。 一方、石けんを入れた水槽は 石けんかすのために水が濁りますが アジは平然と泳いでいます。 5分を過ぎても それは変わりませんでした。 この違いは 界面活性剤が魚のエラを破壊するため 魚が息をできなくなるため と言われています。 同じようなことは人間の肌にも言えます。 LASなどの強い界面活性剤は 人間の肌を浸食し ひどい手荒れにつながります。 体の深いところにまで入り込んで 発ガン性物質になると 主張している人もいます。 石けんは、個人差はありますが、 肌荒れを引き起こすことは少ないようです。 それでも大量に使えば 水質汚濁(下水がにごる)などの 環境負荷につながります。 油汚れは、まずウエス(ぼろ布)でふき取って それから洗うことが肝心です。 そうすれば ナイロンたわしだけでも 食器がきれいになります。 A:石けん でした。 |