書名 自由への道1・2 第1部 分別ざかり サルトル 著 海老坂武・澤田直 訳 岩波文庫 初版発行 2009年9月16日 2011年2月25日第2刷 日比谷図書文化館で借りだし * ロックンロール前夜の自由を求める30代男性。 * 1938年、第2次大戦間近のパリ。 自由に生きたいマチウは 7年来の恋人マルセルの妊娠に直面する。 結婚することはマチウにとって 「年貢の納め時」 あとは、仕事に追われる オヤジ生活しかないと思われる。 マルセルへの相談もなく 堕胎を決めてしまうマチウだが 当時のフランスで堕胎は犯罪。 闇で堕胎をしているから 非衛生的に処置する老婆か 高額の報酬を要求する外国人医師に 依頼するしかない。 老婆にまかせるわけにはいかないが 医師に払う金もないマチウは 金を求めて右往左往。 その一方で女子学生イヴィックにも心惹かれるが イヴィックは試験に失敗して それどころではない。 イヴィックの弟、ボリスは マチウの教え子 クラブ歌手ローザと付き合っているが いざこざが絶えない。 旧友ブリュネが来訪し スペイン市民戦争に関心のあるマチウに 共産党入党を進めるが マチウはこれを断る。 マチウはあろうことか ローザから5000フランを盗んでしまう。 マチウはマルセルに金を渡すが 子どもを産みたいマルセルはこれを拒否。 やはりマチウの旧友ダニエルと結婚を決める。 ダニエルは実はゲイだった。 * 女性を踏みつけて自由を求めているあたり 団塊クンたちの学園紛争と 共通するものが見られる。 無一文で「ロックンロール」と言って生きることができる現代とは違い 結婚して、社会の構成員になる他 生き方の選択肢のなかった当時。 ということではあるが マチウはすでに高校の哲学教師という安定した職を持っていて ロックンロール的生き方からすれば すでに十分、体制側の人間で、ある、はず。 「あんたの求める自由って何?」 * こなれた訳文で、とても読みやすい。 |