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2008年07月21日(月) 

京都三条ラジオカフェ物語


はじまりは、1999年の終わり頃。


「パブリック・アクセス」…市民が番組に参加したいという声が、国内外から沸きあがってきた。
ラジオの影響をうけて育った世代7~8人が、カフェで集まって交流・雑談していた。
KBS京都(民放)を退職したばかりの町田寿二さんも、その談論に加わった。

 

「既成の放送局は敷居が高い。自分たちの思いが伝わらない。それならいっそ、自分たちで作っちまおうか」
素人の集まりだったので、電波制度や放送法の勉強からスタート。他のコミュニティ放送局の見学もはじめた。

 

カフェに集まって相談を繰り返すこと、2年余り。
交流と勉強の集いはだんだんと人数がふえ、50人位のゆるやかな輪になった。
放送免許と資金(数千万かかるといわれた)が、2つの大きなハードルだった。

 

団体でないと免許が降りない。他のコミュニティ局はすべて株式会社だった。
「いろんな人が集まってやる団体」
「オープンな組織」

 

2002年秋、NPO団体として総務省に申請し、放送免許も総務省に届け出た。
同じ省内だがセクションが分かれていて、一向に返事がこない。「前例がない」といわれ、何度も掛け合いに行った。
資金は、町衆といわれる地元の有志が共同出資して、2300万が集まった。

 

その間も、どんな放送局にするかで議論が続いた。
「市民ひとりひとりが主人公」
「プロもはじめは素人だったんだから、勉強したらできるようになる」
「街角のカフェから放送できるようなもの」…イメージが徐々に出来上がっていった。


2003年3月31日、日本ではじめてNPO法人として放送免許を取得した。
JASRAC(日本音楽著作権協会)とも協定が成立し、コミュニティFMとしてスタートした。

 

市民がつくるはじめての番組。
放送料金は、3分間で1500円。これなら中学生・高校生の小遣いでも利用できる値段だ。
放送第1号は商店街有志による〈京都龍馬会〉で、「龍馬の今を語る」番組。5000円/月の放送料だった。
開局当初、40本の番組がたちまち出来上がった。
誰が聞くかわからないラジオ放送だが、潜在需要は思いのほかあった。

 


「市民それぞれが発信できる自由」という、手ごたえをかんじた。

 


番組の制作と放送業務は、「NPO京都コミュニティ放送」。
広告・営業サポートは、「京都ラジオカフェ株式会社」。
2つの団体が連携しながら、「京都三条ラジオカフェ」を運営している。

 

 

 

毎月一回、ラジオカフェでイベントを行い、スタジオを一般公開した。
使える電波が送信出力20Wと弱いので、インターネットでも同時に視聴できるようにした。

ボランティアのアナウンサーが、新聞社から送られてくるニュース原稿を、自分で手直ししながら放送用原稿をつくり、独自のニュース番組もつくった。
FM局を退職してアメリカに遊学、ラジオ・ジャーリズムの勉強をしてきた、時岡浩二さん(専任技術スタッフ)も加わった。

 

専従スタッフ2名のほか、アルバイト・ボランティアのスタッフで放送局を動かしている。
ラジオ(受信機)というものを、「見たことも、聞いたこともない!?」ような若い世代(大学生)から熟年世代まで、面白が って制作している。

 

僧侶がパーソナリティをする「京都三条ボンズカフェ」、看護師の「FM看護系ナイト2」、学生や留学生の制作番組、NPOなど市民グループの自主制作番組などのほか、1分間500円で市民が自由に発信できる「ワンコインメッセージ放送」もある。

 

いま毎月150本以上の番組を放送しているが、市民がここまで手作りできるようになるとは想像していなかった。開局5年で収支はトントン。放送内容のさらなる充実、音声の技術向上、安定経営をめざしている。

 

 

番組制作に何らかのかたちで関わった市民の数は、この5年の間に2000人以上。この市民参加の広がりが、コミュニティ放送をささえている。

現在、コミュニティ放送局は全国に200以上。NPOが運営しているものは、11局になった。

(NPO京都コミュニティ放送 理事・放送局長
 町田寿二さんの談話より)

(7月19日、京都メディフェス・プレイベント
「市民メディアってなに?~誰もが発信者の時代へ」&交流会メモ)

 

 

●京都三条ラジオカフェ 公式サイト

 http://radiocafe.jp/

 

●パブリック・アクセスとは

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%96%E3%…B%E3%82%B9

 

 

 


閲覧数6,996 カテゴリ日記 コメント3 投稿日時2008/07/21 23:55
公開範囲外部公開
コメント(3)
時系列表示返信表示日付順
  • 2008/07/22 01:26
    わかりやすくまとめていただき、ありがとうございました。
    よくわかりました。

    と、同時に、京都メディフェス・プレイベントの参加者から出された疑問「お金持ちのお遊びじゃないの?」という言葉の重みも感じました。

    私も「1分間500円」は、今の時代、高いなぁと感じたからです。

    詳しくは、またの機会に。
    次項有
  • 2008/07/23 12:54
    すごいですね。
    ラジオ世代ではないので、ほとんどラジオを聴いたこともないまま、数年前自分の番組を持ったことがありました。地域ニュースや文化を掘り下げる番組だったんですが、案の定イマイチ楽しさもわからないまま、終了。
    ラジオでそこまで輪が広がったり盛り上がったりするのは奇跡ですね。すごいです京都。横須賀のコミュニティなんて散々ですからね…
    次項有
  • 2008/07/24 02:05
    鉛筆masasanさん
    京都の場合は、

    ●「番組をつくる人が、みずからスポンサーになる」(=市民参加)

    ●番組制作はNPO、営業サポートは株式会社。(=分社化によるビジネス効果)

    この2つが、バランスよく機能しているのではないかと思いました。

    株式会社だけだと、市民参加がむずかしい。NPOだけでも、ボンティア集団と思われて営業活動が手薄になります。
    制作チームと営業チームを分社化して、独立させるとそれぞれの活動に専念できます。

    「自分のことを自分で宣伝する」のは恥ずかしいものがありますが、「市民活動を応援する会社です」といえば堂々と胸が張れる。

    京都人(町衆)らしい、知恵が働いていますね。

    経営的に採算があわないコミュニティ放送局の話は、他地域でもよく聞きます。メインスポンサーが、広告料として不足分を補って継続させているというケースもあるようです。

    次項有
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