10年前(2004年前後)にスーパーの野菜売り場を席捲(せっけん)した 安い中国産野菜でしたが、 最近(現在は2014年)その姿を見なくなりました。 きっかけとなったのは 2007〜'08年に起こった中国製冷凍ギョーザへの農薬混入事件でした。 事件そのものは中国の従業員が注射器を使って農薬を注入したとして 逮捕されて解決しました。 話はそこでとどまらず、 前後して、中国の家庭では 野菜についた農薬を 専用洗剤を使って落としていることが 日本のテレビで報じられたことから 中国産野菜にとっては、 大きなイメージダウンとなったのでした。 それでは中国産野菜は、どこへ行ったのでしょう。 現在、大手スーパーで売られている 大手食品メーカーの冷凍ギョーザには 表に「国内工場で生産」と 誇らしげに書かれています。 それでは、どこの野菜が使われているのかと 裏の原材料表示を見てみると 「キャベツ、にら、鶏肉…」と、 品目が書かれているだけで 原材料の原産国までは分かりません。 裏面のすみの方に 「原産国についてはホームページをご覧ください」 と、書いてあるだけです。 現在の法律では 野菜を売るときには産地を表記しなければなりませんが 加工食品については産地は表記しなくても良いからです。 それでも、原産国を知りたい消費者は多いようで ホームページで公開することになったのでしょう。 大手2社共通で使っている原材料の原産国を 表1にまとめてみました。 すると 「国内工場で生産」しているにもかかわらず 原材料には中国産野菜が使われているのでした。 財務省貿易統計で調べてみたところ 冷凍ギョーザへの農薬混入事件で落ち込んだ 中国産野菜の輸入が近年、ふたたび増えてきているのです (図)。 その多くは、冷凍ギョーザのような 加工食品に使われていることになります。 それだけではありません。 この調査を行っている過程で 外食チェーン店でも中国産野菜が使われていることが 分かったのです。 リンガーハット社の米濱和英社長は 2009年に同社が野菜と麺に使う小麦粉を 国産に切り替えた理由について 「直接人命に関わる食に対する 外食産業のモラル低下への警鐘」と 中国産野菜を使い続けている同業他社を 暗に批判したのです。 このことに関連して フリーライターの成田男さんは 外食チェーンに対して 原材料の原産国についての 質問状を送りました。 1社のみ「中国産」と回答してきましたが 他の7社は無回答もしくは回答拒否でした。 「中国産とは答えにくい」 外食チェーンの態度がうかがわれます。 ちなみに、TPPの交渉で 野菜の原産地表記をやめるよう アメリカ政府は日本政府に要求していると 風の便りに聞こえてきています。 |