『非国民(上)(下)』森巣博 冬幻舎文庫、2005年4月30日初版発行、各648円+悪税(2冊350円) 伊勢佐木町商店街の古書店 シャブ中毒の元ヤクザ、スワード、 ギャンブル中毒の元エリートサラリーマン、鯨(家主) シンナー中毒の元暴走族、亮太とバイク(♀) が 今日を耐え、 明日の快方をめざす厚生施設「ハーフウェイ・ハウス・希望」。 (そして彼らを研究対象としている関西弁の留学生、メグ。) その運転資金が尽きかけたとき 資金調達の方法として行われたのが カシノ(いわゆるカジノは正しくはカシノらしいが、 ここでは半合法のギャンブルハウス、桜田門直営)での グループ賭博。 そこでカモにされたのが 不良警察官の平造と山折。 平造は押収シャブ横流しの内偵で山折に近づき 山折同様ギャンブルにはまってしまった 借金まで背負ってしまったのだった。 二人は腹立ちまぎれにバイクを誘拐・強姦。 スワードと亮太は復讐に立ち上がろうとするも 鯨に押しとどめられる。 カシノが桜田門直営である以上 警察が二人の強姦容疑をうやむやにし 反対に二人を殺害すれば 全力をあげて逮捕しにかかるというのだ。 出口はないのか 鯨は不良警官らに一生にわたる借金地獄を負わせ その金で「ハーフウェイ・ハウス・希望」を メグの祖国オーストラリアに移転させることを思いつく。 そのために一億円をかけた 大博打が行われることになる。 元ジャンキーと不良警察官と、どちらが本当に「非国民」か 著者は問いかけているようだ。 |