2014年7月30日、京都市美術館 まず、東京展とはポスターがまるで違うことに驚かされる。 目のやり場に困る≪夢見るテレーズ≫を前面に使った東京展。 絵の隅で暖炉に薪をくべる男の後ろ姿が不気味な ≪美しい日々≫を上下の白地ではさんだ京都展、 上は黒文字で「バルテュス展」 下は赤文字で「Balthus」 トップには「『20世紀最後の巨匠』再び、京都へ。」のコピー。 東京展では食指をそそられなかったが 京都展は即決で会場に入ることにした。 バルテュスがモチーフとしたのは 少女特有の一瞬の美。 1980年代にブームとなった 篠山紀信の「激写」と共通する。 パンフレットでは紀信が 「写真嫌いなバルテュスがなんとぼくをアトリエの内部に招き入れ、 撮影を許可してくれた」と語っているが バルテュスも紀信に共通するものを感じ取ったのかもしれない。 テーマは一貫しているが 作風に共通性はない。 え!? これ全部おなじ人が描いたの? 日本人の節子夫人と結婚してからは 日本画風の作品まで描いている。 そんななかで バルテュスが子供時代に描いた猫と自分の連作 ブロンテ「嵐が丘」の挿絵連作 と、ストーリー性のある絵が目を引く。 そういう意味で ソファにしなだれかかって鏡を見ている少女のかたわらで 暖炉に薪をくべているワケあり男の姿を描いた ≪美しい日々≫をポスターに使った京都展は 正解だろう。 |