インスタント麺やポテトチップスをあげる油、 お菓子にさくさく感を出すショートニング 天然材料をうたった石けんやシャンプー、洗濯洗剤 これらの原料には、パームヤシの実から取った パーム油が使われています。 天然原料を使っていることから 「環境に優しい」と宣伝されることも多いのですが パーム油にも問題がひそんでいます。 まず、パームヤシの原産地はアフリカですが 植民地時代に東南アジアや中南米に伝えられました。 現在では東南アジアのマレーシアとインドネシアが 世界のパーム油需要を支えています。 このため、マレーシアでは 1975年には50万haだった栽培面積が 2000年には300万haを超え、 2011年には約480万haまでに増えています。 このためにさまざまな弊害も生じています。 1)熱帯雨林の破壊 マレーシアのサバ州、サラワク州(ともにボルネオ島)では 熱帯雨林(ジャングル)を切り開いて パームヤシ・プランテーションがつくられています。 このとき、地中の種子まで排除するため 表土までもがはぎとられます。 a) 地球温暖化への影響 東南アジアの熱帯雨林は地球の温室効果ガス(GHG)を吸収していましたが プランテーションをつくるために破壊されます。 これによって失われる吸収効果は 人間が排出している総GHGの約10%にも上ります。 b) 生物多様性への影響 ボルネオ島にはスマトラタイガー、アジアサイ、スマトラオランウータンなど 絶滅が心配される動物が棲んでいます。 彼らが棲んでいた土地を追われるだけでなく プランテーションに侵入して 人間と衝突し、殺されてしまうことも起こっています。 開発の際、表土もはぎ取ってしまうため 土地の保水力が失われ 大雨が降ると土砂が川に流れ込み 川の魚やエビの生育を妨げています。 c) 農作物への影響 ボルネオ島の原住民は、ジャングルで焼き畑農業を行っていますが 彼らの耕作地がプランテーションに奪われてしまいます。 (土地の権利問題もあらためて紹介します) つづく グラフは、マレーシア・パーム・オイル・インダストリーのHPから http://www.palmoilworld.org/about_malaysian-industry.html |