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2012年01月12日(木) 
『「地元」の力 地域力創造7つの法則』
金丸弘美著、NTT出版、1600円+悪税

少し前からよみうりテレビ系の「秘密のケンミン・ショ-」が
気に入っている。

東京では「今川焼き」と呼ばれているものが
地方によって「回転焼き」「大判焼き」と呼ばれていることや
なかにはハムとマヨネーズを入れて売っているものが大人気というところもある
など
きわめてローカルな仰天話を
まじめに楽しく、驚きをもって伝えてくれる番組だ。

出演者も47都道府県の代表タレントで
他県の食べ物などに「ありえない~!」と言いながらも
実食してみると「ええ゛~、おいしい~」と
反応している。

こんな番組が全国放送されているのも
「東京が一番」としてきた近代社会が終わったからなのだろう。


『「地元」の力 地域力創造7つの法則』も
ポスト近代を地域がサバイバルしていくために必要なことを
示唆してくれている。

帯に
「人が集まってくる故郷を取り戻した
 18の「地元」おこし」
とあるように

20世紀型経済成長から取り残された地方、
(なかにはいやおうなく過疎と向き合っているところもある)
で成功した18の地域おこし先進事例
を「7つの法則」によって整理している。

「7つの法則」とは
・デザイン力~じぶんで仕組みを考える
・発信力~「ここにしかない」が人を呼び込む
・知恵力~地域資源を磨く
・コミュニティ力~地域の特色を皆で見つけ育てる
・編集力~地域資源の外部への見せ方
・伝統力~近代化をはがすと「お宝」が見つかる
・連携力~地域がつながると付加価値が生まれる

これによって
三重県伊賀市、徳島県上勝町、長野県羽根村、長崎市、大阪市
和歌山県田辺市、世田谷区、イタリア・ブラ市、ギリシャ観光協会
茨城県常陸太田市、兵庫県豊岡市、大分県臼杵市、埼玉県小川町
鹿児島県大崎町、愛媛県内子町、熊本市、岐阜県高山市
香川県高松市の事例を紹介している。

これだけ回るだけでもたいへんな作業で
読む方も骨が折れそうだが、そんなことはない。
金丸氏は永年雑誌記事を執筆されてきたとあって
また、いずれも「食」がキーワードとあって
雑誌感覚で、大事なポイントをはずさずに
読み通すことができる。


たとえば上勝町の「葉っぱビジネス」
わたしなどは、せっかく現地を訪ねたのにもかかわらず
作業しているおばあちゃんに気を取られて
横に置かれたパソコンをカメラにおさめるのを忘れてしまった。

金丸氏は、しっかりとカメラにおさめ
このパソコンこそが「葉っぱビジネス」のキモであることを
紹介している。
上勝町のおばあちゃんたちは、パソコンで葉っぱの市場動向を
把握しているのだ(愕)。


この本での金丸氏は
単なるウォッチャーにとどまらない。

「これをやりたいのなら、ここが足りない。
この人を紹介するから、勉強しなさい」
というアドバイザーの役回りもやっている。

氏は総務省地域力創造アドバイザーでもあるのだが
決して「上から目線」にはならない。

まず地域の人たちに地域の資源をテキスト化することを勧める。
これは氏がイタリア・スローフード協会の取材で学んできたことでもある。

テキストは地域の「物語」であり
「物語」がよその地域の人たちを引きつける魅力となる。
本書で取り上げられている18の事例、
どれにも「物語」がある。


これから東北地方の復興が本格化するが
地域の「物語」を忘れず、
21世紀型のまちづくりを進めてもらいたいものだ。
その手がかりとなる1冊。

閲覧数9,056 カテゴリ書評 コメント0 投稿日時2012/01/12 12:16
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