1)緊急時モニタリング等の在り方 緊急時モニタリングの実施体制について「国の統括の下で」となっているが、大規模災害時(阪神大震災から東日本大震災に至るまで)において国が初期出動し陣頭指揮を執ることができた例はない。また原子力災害だからと言って、国が地方公共団体を統轄するのは地方分権の流れに反している。 モニタリングの主体は基礎自治体、都道府県と国は情報の共有などの後方支援を行う体制でなければ初動に失敗する危険性が高い。消防組織と同じ考えにたつ必要がある。 発災時には国が緊急時モニタリングセンターで緊急時モニタリングを行うことになっているが、これから緊急時モニタリングセンターをつくるのでは、東北地方の復興のための予算がなくなる。また赤字国債を発行してまでセンターをつくるのでは将来世代に対する「負債」となるだけでなく、国際的な日本国際の格付けに影響することも懸念される。 また平時においても国家公務員を緊急時モニタリングセンターに常駐させることは、財政負担を増大させるだけでなく、優秀な人材をセンターで「飼い殺し」にすることにもなりかねない。 緊急時モニタリングセンターは基礎自治体に立ち上げることとし、そのための機材と人材を平常時から準備することがこれからの時代にふさわしいと思われる。 2)安定ヨウ素剤の配布・服用 緊急時の服用については原子力規制委員会が判断を行うことになっているが、たとえば茨城県を震源に大地震が発生し、都内の交通機関も止まってしまった場合、規制委員会の委員が参集してヨウ素服用を決定できるまでに半日以上はかかることが3・11の経験から想像される。これでは完全に手遅れである。 また、経済活動その他でこれだけ「自己責任」が言われている中で、安定ヨウ素剤の服用を国が決めることはおかしい。 原子力災害発生の報道が行われた場合、すみやかに安定ヨウ素剤を服用するか否かの判断は本人もしくは家族がする。そのために「何のための安定ヨウ素剤か」「副作用はどのようなものがあるか」等、服用を当該自治体住民が判断するための情報の提供と周知徹底を行うことが指針に盛り込まれる必要がある。 国に提出したパブリックコメントから。 |