東日本大震災からの復興におけるNPOの役割2 (日本NPOセンターからの宿題) ④ パートナーシップ 行政職員もまた被災した東日本大震災では圧倒的にマンパワーが不足しています。 そのうえ高台移転をはじめとする行政課題は山積して、 とても行政だけで新たなまちづくりは望めません。 その際、 NPOが行政の「下請け」ではなく 行政と対等に議論し、PDCAサイクルをまわしていく関係が必要です。 京都市の「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」は 行政・市民・学識経験者によるパートナーシップ組織で 京都のまちの課題を解決していくための活動が行われています。 その一つに、簡易型環境マネジメントシステムKESがあり 中小企業の省エネや環境活動に貢献しています。 北海道ニセコ町では 環境基本計画の推進状況のチェックを 行政と住民がいっしょに行っています。 ⑤ 行政の総合化 環境・経済・社会を基盤にする持続可能なまちづくりも 震災からの復興も 行政はすべての部局を動員する総力戦です。 行政を縦割りから総合化に変えるのは 基本的に首長と行政の仕事です。 しかしながら 首長や行政に働きかけて 行政の総合化を進めることはNPOにもできます。 環境首都コンテストでは、環境施策だけでなく 職員研修やまちづくりのための助成金制度 環境に配慮した交通施策や産業育成などの質問を行いました。 このことには、行政の総合化のためにねらいも含まれていました。 (個人的には、環境首都コンテストのおかげで むずかしい行政文書を読みこなせるようになりました) 人口規模の小さな自治体であればあるほど NPOの働きかけで、行政の総合化は進みます。 ⑥ 人づくり 復興事業を行っていくためには、現地に人材必要です。 被災地に残った人々のエンパワーメントが必要です。 私たちは長く、「民主主義とは多数決」という 誤った教育を学校で受けてきました。 多数決で復興事業を行えば 過半数を獲得できなかった意見の人たちは まちづくりから疎外され 最悪、まちから出て行くことになります。 まちづくりに必要なのは合意形成です。 違う立場、違う考えの人たちが集まり、話し合って どこに妥協点を見いだすか、です。 合意形成によってつくられた復興計画は つくった人たちによって かならず実行されます。 お金がないところは なんとか自分たちで工夫しようとします。 そのプロセスを経験して ごく普通の人たちがまちづくりのプロに成長していきます。 ⑦ 誰にでも分かる率先例をつくりだす ソチ・オリンピックで輝いていたのは競技場でも政治家でもなく アスリートたちです。 日本にはいまだ「立派な競技場をつくれば立派なオリンピックができる」と 考えている人たちがいるようですが 立派な建物をいくらつくっても東北は復興しません。 被災地に住む人たちが輝いてこそ、 遠く避難している人も戻ろうと思い Iターン希望者は東北に新たな希望を見いだすはずです。 ①~⑥の具体的事例をつくりだし 全国に伝えるのはNPOの大切な仕事です。 (残念ながら今の商業メディアには期待できません) 以上 |