東日本大震災からの復興におけるNPOの役割 (日本NPOセンターからの宿題) 昭和の頃、東北には「暗い」「遅れている」というイメージがありました。 それは明治から昭和の初めにかけてたびたび三陸地方を津波が襲ったことと 東北地方全体が冷害に見舞われたことによるものでした。 今回の震災復興ではピンチをチャンスに逆転し、 22世紀型先進地域としての東北をつくりだしていく必要があります。 残念なことに、新しいエネルギー基本計画案一つをとっても、 政府と霞ヶ関の官僚はまるで震災がなかったかのような政策を進めようとしています。 これではとても22世紀型先進地域としての復興は望めません。 いまがNPOの出番です。 私が関わった「持続可能な地域社会をつくる 日本の環境首都コンテスト」全10回から、 持続可能な社会づくりには次のようなことが必要であることがわかりました。 これらを進める上でNPOのコーディネートが必要とされています。 ① ビジョン・目標を掲げる 22世紀型先進地域として、持続可能な地域・東北を提唱し、人々を鼓舞するのはNPOの役目です。 復興後の我が町の姿、22世紀の我が町の姿を行政・住民・事業者がともに考える。 その会議をコーディネートするのもNPOです。 「22世紀型先進地域」とは、経済中心の20世紀型モデルとは異なり、 経済・環境・社会(社会的公正と地域らしさ)の調和のとれた、 子どもの世代、孫の世代までも安心して住み続けられる地域のこと(持続可能な社会)です。 「食料とエネルギーさえあれば日本がどうなろうと自分らは生きていける」(市民電力関係者の言葉) という地域自立へ意志は、政府のひも付きコンサルタントに言えることではないでしょう。 ② 戦略を持つ 22世紀型先進地域づくりの課題を解決していくための計画「ローカルアジェンダ21」を 行政・住民・事業者で話し合ってつくり 優先順位を決めて実行していく。 そのコーディネートを行うのがNPOです。 行政の計画の中にはいつまでに、だれが、何をするのかの具体性がまるでなく、 方針と言った方が良いものが少なくありません。 NPO法人環境市民のボランティア・コーディネーターとして参加した 大阪府吹田市の「アジェンダ21すいた」(ローカルアジェンダ21)策定会議は ごみの減量、地域の交通、自然の回復、環境学習をテーマに 可能な限りの具体性を持たせた計画になっています。 ③ 環境・経済・社会を兼ねた事業を行う 各地でNPOが市民出資による自然エネルギー(再生可能エネルギー)発電所を建設し、 地域に雇用を生み出そうとしています。 一般社団法人徳島地域エネルギーでは、出資ではなく寄付を募り、 売電利益で地元の特産品(農産物)を購入、 寄付してくれた人たちに還元するビジネスモデルをつくっています。 これは、発電事業が地域の農業の活性化や働く高齢者の介護予防にもつながるものです。 復興住宅についても、地元の木を使い、地元の職人さん・工務店により、 地元の風土にあった家屋を建てる。そのことにより、 地元の林業家も潤うことになります。 こうした地元振興型木造建築をコーディネートしているNPO(天然住宅等)もありますが、 地域の行政・住民・事業者をこのような方針に導くのもNPOの役割と考えます。 つづく |