以前、夏野菜を冬に育てるには暖房が必要で たくさんのエネルギーを必要とすることを見ました。 それでは、具体的に トマト、きゅうり、ピーマンでサラダをつくった場合 野菜栽培に使われるエネルギーの差は 冬と夏とで、どのくらいになるでしょう。 サラダに使われる野菜は トマト半球、100g きゅうり半分 50g ピーマン1個 20g と、します。 わかりやすくするために 使われたエネルギー量(kcal)を 電力量(kWh)に換算し、 その電力量で液晶32V型テレビを何時間つけられるか、 で考えてみてください。 1.約30分間 2.約9時間 3.約31時間 冬の収穫、夏の収穫、それぞれの生産に必要なエネルギー量を それぞれの素材の重量に切り分けてみると 冬 夏 トマト 1,195 kcal 118 kcal きゅうり 253 kcal 50 kcal ピーマン 209 kcal 21 kcal 合計 1,657 kcal 189 kcal 冬と夏の差は、1,468 kcalにもなります(表1)。 環境市民の堀孝弘さん(注1)によれば、 この数字は冬のトマトを温室で育てた時のもので 1 kgあたり11,948 kcal必要です。 (温室は鉄骨ガラス張りの構造です) これに対してハウス栽培では トマト1 kgあたり4,241 kcalで、 サラダ1つ分の合計も886 kcalまで下がります。 それでも、夏につくる分に比べて 約700 kcalの差があります。 冬と夏につくる夏野菜サラダに必要なエネルギー量は 700~1,468 kcalと、かなり幅ができてしまいました。 しかも私たちには 温室でつくられたトマトか ハウス栽培のトマトか 区別がつきません。 堀さんは間の1,000 kcalをとって計算を進めています。 切が良いので、これにならいましょう。 液晶32V型テレビの年間消費電力量は61 kWhです。 1日4.5時間テレビをつけて、 他は待機状態にしているという条件で計算されていますので 1時間あたりの消費電力量は37 Whになります。 これを kcalに換算すると32 kcal したがって 1,000 kcalでつけられるテレビの時間は連続31 時間ということになります(表2)。 答えは、3 でした。 これは、 1 日4.5 時間つけるとすると 7 日間に相当します(注2)。 「こまめな節電を実践している人が、 真冬に夏野菜のサラダを1皿食べただけで 日ごろの努力が吹き飛んでしまうのです」と 堀さんも言っています。 (注1)堀孝弘さん 元環境市民事務局長、現会員、奈良県生駒市経済環境局勤務 (注2)堀さんの計算結果では26.5 時間、5~6日分となっています。 これは堀さんが計算した時のデータが2011 年のもので 今回は2013 年のものを使っているからです。 わずか2 年間で15 %もテレビの省エネが進んでいました。 |