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2014年06月06日(金) 
書評「木下順二戯曲選Ⅱ」 木下順二著
岩波文庫、1982年7月16日初版第一刷、450円(100円)
伊勢佐木町商店街の古書店で購入

古書店まえのワゴンセールで
目に飛び込んできた一冊。

カバーはなく
帯だけの、昔ながらのスタイル。

戯曲はあまり得意なほうではないが
本から呼びかけられた気がして購入。


木下順二(1914~2006年(大正3年~平成18年))
「夕鶴」で知られる劇作家。
(というのは後で知った)

評論も書いているし
明治大学の教授もつとめたらしい。

「風浪」は彼のデビュー作。
舞台は、明治維新直後から西南戦争までの熊本。

昨年の大河ドラマ「八重の桜」後半
熊本西洋学校の学生が同志社に転入してくる話があったが
彼らが熊本を離れる経緯も描かれている。

学校経営者は「和魂洋才」を学校のモットーにしていたが
一部学生はキリスト教に傾倒してしまった。
そして熊本にはまだ攘夷の名残のようなものがあった。

神風連の乱にしろ、西南戦争にしろ
時の政府を批判し、打倒しようとする者は後を絶たないが

そのあと、どのような政府をつろうというのか
ビジョンを描けたものはなかった

そのことが浮き彫りにされる。

それでも最後に、木下順二は登場人物に言わせる。

「時勢ばつくる者ァ決して政府や県庁の官員だけじゃなか。(略)
貴公たい。俺たい。(略)
地租ば五厘下げさせた蓆旗(むしろばた)の百姓たい」

「俺ァもう頭の中だけで考える事(こつ)ァやめにした。。
人と議論する事(こつ)もやめにした。(略)
とにかく大義ばうち忘れとる今の政府ば倒そうちゅういくさに、
俺ァ飛び込んでいく」

熊本弁が少々読みにくくもあるが
旧制中学校時代を熊本で過ごした木下順二のこだわりらしい。

「蛙昇天」
第2次大戦後、革新VS保守で政争を続ける政治家たちについての寓話。


現在の岩波文庫にはカバーがついています。

閲覧数8,677 カテゴリ書評 コメント0 投稿日時2014/06/06 12:47
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