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2014年07月13日(日) 
『棄国子女』片岡恭子
春秋社、2013年11月20日、初版第1刷発行、1,700円+悪税
書泉グランデで購入
2013年度ライターズネットワーク大賞「マイルストーン賞」受賞

いわゆる帰国子女は、日本とは異なる、海外の生活習慣や
思考回路を身につけてしまったために、帰国後
日本のムラ社会(閉鎖的)共同体(学校、会社、地域等)で
フォリナー(異邦人)扱いをされて
しばしばイジメの対象となっている。

一方、この本の著者は
日本にいてフォリナーとなり
日本社会からはじき飛ばされてしまった。

「周りの顔色をうかがって、右にならへの付和雷同
他人と違うことや
お上から与えられたものに疑問を抱くことさえ
この国では全部悪いことなのだ。

それこそが私がずっと感じている違和感であり、
敏感な人が感じている生きづらさの正体なのだと思う」
(まえがき ひとすじの光)

心を病み、南米へ向かった著者は
途中立ち寄ったスペインで強盗に遭う。
パタゴニア山中で遭難した。
アマゾンでは食中毒にかかる。
ボリビアでは暴動に巻き込まれた。
コロンビアでは大金を盗まれる。
ベネズエラでは軍隊に拘束された。

まさに七難八苦が降りかかってきた。

それでも著者は言う。
「生かされたのだとつくづく思う」と。
(同上)

「ひとりひとりが自分を取り戻すこと
シンプルでささやかであるが、
それこそがあなたと、あなたが住むこの国と、
あなたが生きるこの世界を救う
唯一の方法なのだ」と。
(旅の途中)

この本は
自分自身を取り戻そうとする著者自身の姿を描いたとも言えるが
取り戻すことができたのか
どうも心許ない。

こんな体験はだれにでもできるものではない。
十中八九、死んでしまうだろう。

そんな修羅場をくぐり抜けてきた著者が
光をかざすことができないでいるのは

戻ってみれば
日本という国が旧態依然としていたことと無関係ではないだろう。


ライターズネットワーク大賞の選考委員たちは
この本を「大人になるためのプロセス」と思ったのだろうが
それは勘違いというものだろう。


やがては自分たちの首を絞めることになる
特定秘密保護法にまったく関心のないライターズネットワークに
警報アラームを発し続けている。

閲覧数15,175 カテゴリ書評 コメント0 投稿日時2014/07/13 18:42
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