『地獄茶会~地獄の沙汰も縁(えにし)次第』 2月7日増上寺、劇場茶会実行委員会主催 京都西陣で縁のあった藤本ゆかり・AyAko姉妹が席亭。 ゆかりさんは、スタッフ衣装、茶器、後半のお茶立てと大活躍。 AyAkoさまは女閻魔大王!? 受付で渡された袈裟には人間の犯す10の罪業が書かれ、 自分がどれを犯したのか申告しなければならない。 どれも思い当たる節がない私は罪をも忘れる最も業が深い人間。 参加者は一列に並び手綱をたよりに地獄へと向かう。 先導するのは全身白塗りの亡者(舞踏家)。 照明の消された光摂殿大広間には いくつもの帆布に地獄の業火が映し出され、 その中をくぐり抜ける。 あるいは地獄の業火はこのようなものかもしれない。 肉体を失った死者が燃えさかる炎を熱いと感じるはずもない、 などと考える。 やがて座らされた私たち。 奥の間のふすまが開くと片膝付いた女閻魔大王さまの登場だ。 おそば付きの幽霊女に手招きされて、 参加者は一人ひとり女閻魔大王の前に座らされる。 申告された罪業を見ると閻魔さまは幽霊女に無言で指示。 女は鏡で参加者自身の顔を凝視させる(私にはこの儀式がなかった)。 閻魔さまは柄杓を振りかざして辛い煎茶をふるまってくれるのだった。 湯飲み茶碗が手びねりなのか、肩の形状が一様でない。 飲みやすいところを探すと自然、湯飲み茶碗を回すことになった。 その後、参加者は二手に分かれて外の廊下へ。 そこにはろうそくの灯りで照らされた「一切唯心造」の書。 大広間に戻ると灯りがついて後半の茶会。 吉田龍雄師から参加者に舌が返された。 舌は赤い生地で中には椿のタネが入っていた。 「一切唯心造」は仏教用語で、 「世の中のあらゆる事象は人の心がつくりだしている」の意、 という講話が行われている間に茶菓子が出る。 浄土宗のお寺で禅宗の話を聞かされることに 内心首をかしげながらも、 食してみれば白あんにレンコンが練り込まれている。 これにもいわれがあったのだが忘れてしまった。 お運びをしてくれる女性は古代朝廷女官風衣装。 あとでゆかりさんに聞いたところ、 仏教が日本に渡来した頃の衣装をイメージしたという。 そのゆかりさんがデザインした抹茶椀は、 ダイナミックなのはよいのだが、凹凸が多くて、 抹茶をずずずーっと最後の一滴を飲みほすのがむずかしかった。 終わって外に出ると雲一つない青空が広がっていた。 増上寺では徳川将軍家墓所の特別公開も行われていた。 これもまた見ごたえがあった。 |