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2015年02月11日(水) 
音楽評「夜の彷徨(さまよい)」ラリー・カールトン

1970年代の初め
ウエザー・リポート、リターン・トゥ・フォーエバーなど
名うてのジャズグループがロックの世界に越境してきた。

シンセサイザーを使い
ドラムスは16ビート。

でも
「ジャズ喫茶でかけてもらったら
お客さんの半分は帰ってしまった」
(ピーター・バラカン)

ジャズ・ファンは(少なくとも日本の)
「こんなのジャズじゃない」と思い
ロック・ファンにとっては難解だった。

マハビシュヌ・オーケストラを見たジェフ・ベックは
「僕ならもっとわかりやすくできる」

「ブロウ・バイ・ブロウ」と「ワイアード」をつくった。
1970年代半ばのことだ。

1978年発表された
ラリー・カールトンのこの作品は
もっとわかりやすい。

Aメロ>Bメロ>サビ
というロックやポップスの曲の展開を踏襲しているからだ。

(モダンジャズは主題を演奏したのち
 各楽器のアドリブを回していく構成)

しかもドラマーはTOTOのジェフ・ポーカロ。
リズム感がロックなのだ。

でも、キーボードの奏でるコードはジャズ。
しかもラリー・カールトンのアドリブは並のロックギタリストよりもうまい。

こうしてフュージョンという分野が確立することになった。
現在では、ウエザー・リポートもリターン・トゥ・フォーエバーもマハビシュヌ・オーケストラも
フュージョンとして売られているが
1970年代半ば当時は「クロスオーバー(越境)」と呼ばれていた。

(ジェフ・ベックは当時も今もロック)

フュージョンは「おしゃれなジャズ」として
当時の大学生の大人気を集めることになった。

当時マハビシュヌ・オーケストラは聞いていたのに
ラリー・カールトンを聞くことはなかった。
どうしてだろう。

先日、古い「ロッキング・オン」を整理していて
裏表紙の広告にこのアルバムが掲載されているのが目についた。
あらためて探すと、レコード店では廉価版が出ていた。
ということで、今回のレビューとなった。

あまりにもわかりやすい心地よさ。

「ロッキング・オン」に広告が出ていたように
<ロック・ファンに聞かせたいジャズ>色が、露骨なのだ。

フュージョンは、音楽産業が最も花開いた1980年代の到来を予言する
あだ花だったのだろうか。

今でもこういう音楽を聴きたい人はいるだろうし
空港のラウンジなどのBGMにも使えるだろう。

繰り返し聞くたびに
この作品でのジェフ・ポーカロのドラムスが大きなウエイトを占めていることに気づく。
(ライナーノートには
はじめ、スティーブ・ガットのドラムスで録音したが
ジェフ・ポーカロで録音しなおしたエピソードが紹介されている)

これはジャズ関係者にとっても
ある意味で屈辱的だったのかもしれない。

フュージョンのフォロワーが出なかったのは
案外そのような理由かもしれない。

閲覧数10,393 カテゴリ書評 コメント1 投稿日時2015/02/11 01:08
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