プロジェクト「イマジン・ラヴ&ピース」 2月14日、ルノワール池袋PARCO横店会議室 講師:廣水乃生 「イマジンの世界は多様性を認める者で、多様性は紛争のタネとなる」 いきなり核心に迫る発言が廣水から出た。 「問題は紛争といかにつきあうかだ」 紛争を問題として見た場合、 解決に至ろうが、無視されようが、 いずれにしても、 多様性はお互いの違い「○○は正しい」/「正しくない」で 誰にとって「正しい」かという 局所的な議論に収斂する。 廣水は紛争を知恵への扉、探求の入口と見る。 紛争の背景にあるものをお互いが知ることで お互いの距離感を見つけられる、というのだ。 こうしたことは個人についても言える。 「自分を変えなければ」と思いながら、できないでいると やがて、その意識を隠そうとする(無視する)。 「自分を変えなければ」と意識はしているが、なかなかできない という状態が続けば、やがてヒトはうつ状態になる。 これでは持続できない。 自分には良い面もあれば悪い面もあることを認める。 ただし、 人間は自分の中のすべてを認知することができない。 そのために、時として不可解な自分が現れたりする。 *ジョン・レノン「イマジン」の歌詞をキーワードに 1)Living for Today 自分が自分らしく生きる。 他者のために働くことは紛争のタネになりうる。 「私がここまであなたのために働いてきたというのに。。。」 他者の言い分を聞くのは、次のステップだと廣水は言う。 2)Living Life in Peace アウトドアのパタゴニアでは、店舗で働くパート従業員の意見を経営に反映させるため 経営トップ会議から店舗内ミーティングに至る 合意形成の仕組みをつくった。 「YES」「決まったら従う」「NO」の3種のサインを決めて 「NO」がなくなるまで話し合うというのだ。 効率を優先する企業活動ではなかなかできない話のように思われるが やっていると、 ぐずぐずと「NO」を示せないでいることのほうが非効率と思われるようになった というからおもしろい。 これがうまくいくためには 店長がふだんからパート従業員の意見を聞くという 民主的態度が必要であるが やっていくうちに民主的態度が身に付いてくる というから、これまたおもしろい。 廣水はこれを小規模自治体でも実施することを構想している。 3)Sharing All the World 困っている人がいたら、自分の強み(余剰、First Gift)を提供することで 全体が持続的になる、と廣水は言う。 この余剰は自分にとってはできてあたりまえのことだが 他者にはできないことなので ともすると「なんで、このくらいのことができないのだ」という 形で認識されるもののことだ。 一方、 社会には、あらゆる面で「不足している」人がいる。 そのような人でも存在して良しとするのがイマジンの世界観。 役に立たなくても良いというのが基本的人権であり 役に立たなくてもやっていけるというのが持続可能な社会 「必要とされないものは価値がない」というのは社会の「病気」という。 ○所感 「対立の背景にあるものを見る」というのは柳下元上智大学教授もやっていた手法。 柳下の場合、原発をめぐる対立を論理で解明しようとしたのだが 原発は論理ではなく利権が根底にあることが福島の事故で明らかになってしまった。 「役に立たない」人の参加は湯浅誠元派遣村村長(現法政大学教授)の言う 「全員参加型社会」にも通じる。 自分を大切にすることが家族とのハレーションを生じさせている私としては いろいろと考えることの多いセミナーだった。 |