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2015年12月29日(火) 
J-Theater「日本人作家シリーズ」語り芝居太宰治特集
「失敗園」「尼(『陰火』より)」「貨幣」
12月22日、小劇場楽園(東京・下北沢)

構成:原きよ
演出:小林拓生
能管演奏:やすだまこと

原きよは、何年か前、高校の同窓会で出会った
私よりも8年ぐらい下の卒業生。

一時、郷里大分の民放でアナウンサーをしていたというが
局アナのイメージからは遠い
小柄な、着物姿が似合う
いくつになってもかわいらしい人だ。

現在は三鷹のケーブルテレビでレポーターをやりながら
好んで太宰治の小説の朗読会を開いている。
(太宰の故郷、津軽でも上演しているというから相当の入れ込みようだ)

2,3年前に初めて朗読会にうかがったときは
丁寧な、最初から最後までペースをきっちりと守る
正統的な朗読のスタイルであった。

それが、昼下がり、昼食後の時間ともなれば
眠気を誘うことにもなる。
そこで、芝居的な演出を取り入れてはどうかと提案してみた。

果たして次にうかがったときは
ピアノ演奏とのコラボもあってか
一人芝居のような、朗読スタイルに変っていた。
(ブログを見ると、彼女の側にも演劇との体験的な出会いがあったらしい)

そして今回は劇団J-Theaterとの共演
原きよは、太宰の小説を演劇として構成する作家であるとともに
「貨幣」では登場人物の一人(役者)となっていた。

3つの短編小説は、
太宰の実家の養育係たけが老後に海辺で見た蜃気楼とも

太宰がおでん屋で編集者と飲んでいる途中に
眠り込んでしまって見た夢とも

受け取れる構成で提示された。

「失敗園」は、家の庭に植えられた野菜たちのつぶやきや愚痴を
太宰が書き留めたもの。
ふむ。太宰の作品は会話が多く、芝居にしやすいようだ。

「尼」は、下宿の廊下に突然現れた尼が主人公の部屋に入り込む
少しホラーがかった不条理小説。
能管の音色が効果的に響く。

「貨幣」は戦前、戦中、戦後を生きてきた百円札が
自分を買い物で差し出した人たちを通して世相を語るもの。

原きよは長いセリフをかむこともなく
哀愁を帯びた大人の色気を漂わせながら百円札を演じていた。

終演後は続けてアフタートークがあり
中央大学岩下武彦教授と原きよが
杉並区に残された戦前の木造建築物にして太宰治の下宿「碧雲荘」の保存問題
(このままでは来年春までに取り壊されてしまう)
について語り合った。

ソプラノ声の原きよがアルトになっていたのが???
終演後に声をかけるといつものソプラノだった。


閲覧数7,921 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2015/12/29 21:21
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