東京国際ブックフェア専門セミナー(2) 「読書」の極意と掟 筒井康隆レポート 7月5日、東京ビッグサイト会議場 「読書」の極意と掟というタイトルは、 著書「創作の極意と掟」をもじって 主催者が勝手につけたものだと いきなり不快感をあらわにする 筒井康隆。 前半は、指示されたテーマを語り 後半は、最近の作品を自ら朗読した。 筒井康隆の読書経験は 家にあった世界文学全集に始まるという。 「じぶんの好みが見つかるまでには 何でもいいから読みなさい (乱読しなさい)」 というのは、わかる が 世界文学全集を読みなさいというのは ちょっと意外だった。 もっとも 戦中派の筒井にとって 疎開させて空襲を免れた全集は 宝物だったに違いない。 戦後はとにかく本がなかったという。 そして 今ではSFはあらゆるジャンルに通底する教養になったと 筒井康隆は言う。 「純文学の大江健三郎までもがSFを書くのですよ」 ひとつのジャンルを読み倒すと やがては、そのジャンルにも飽きる。 「それで良いのです」と筒井康隆は言う。 「飽きるということは成長の証」 「俺にだって書ける、と思うようになること」 朗読した作品(タイトルは失念)は 作家本人が文中に登場するもので 自らの過去の作品をふり返り 「あの頃は、よくあんなことが書けたものだ」 と、かつてのブラック小説に言及していた。 それだけ、マスコミや言論界の自主規制が 強くなっているということなのだろう。 |