書き込み数は2件です。 | ◀▶ |
写真というのは残酷なもので、そのときのその一瞬の人をとらえて「その人」だと決めつけるところがあり、撮られた側の人は「いやあれは本来の俺じゃない」と言い訳をし言いたいことがいっぱいある筈なのに、写真のその人物は勝手に一人歩きをして主張を始め、「その人」から遠慮なく「遠ざかって」いく。それでもその写真が「核心」をつくものであれば、間違いなく「その人」を捉えていて、歴史に残る「一枚」となったりする。人物写真というのはよくそういうものだけれども、街の風景も同じようなところがあり、その時その場所にだけにしかなかった風景が、その街を紛れも … [続きを読む] |
私の大学の恩師は、当時大いに流行っていた「思想」や「哲学」で頭がカチカチになっていた私たちのゼミの席で、「あなた方、まず横文字(外国語)と(社交)ダンスをやりなさい」と言われて、ヘーゲルかサルトルかはたまたベルグソンかと待ち構えていた私たちの出鼻を挫かれたが、その先生とある日なにか雑談をしていたときに、「美空ひばりは、芸術かしら」と問われた。私にはそれがまるで口頭試問のように思われて、真顔で「いわゆる芸術であるとは思えませんが、「芸」と「術」は卓越しているのではないでしょうか」と賢しらげに応え、先生に苦笑されたことを思い出す。 … [続きを読む] |
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