十数年前のことだが、会議で一週間程シドニーに行ったことがある。その時たまにはホテルの外に繰り出そうということで、近くのスタンドバーで飲っていたところ、夜中の12時を既に過ぎているというのに若い女性を含む数人がそのバーに訪れて、和やかに飲んで三々五々と帰っていった。むろん若い女性も一人や二人で何の懸念もなさそうに帰っていく姿に、「この街はそんなに安全なのか」と思ったものだが、その頃のニューヨークでは全く考えられなかったことで、人がそれ程混んでいない街で、その光景を見て「ほっと」した気持ちになった。近頃ではニューヨークも変わったらしく、シドニーも反対に変わっているかもしれないが、欲しい本を探してタクシーをとばしても30分以内で市中の書店に行けて、ゴルフに行こうと思っても1時間はかからないというその街のサイズが「好ましかった」、のを覚えている。その上身の回りの「安全」が約束されれば、「住みやすい街」には違いない。英語でも別れ際に「Take care.」というけれども、近頃日本の若い女性が別れ際に言う「気をつけてね」という言葉には、軽い響きがないと思うのは、私だけだろうか...
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