曙町の「荒井屋」の二階で牛鍋を肴に日本酒を飲んでいたとき、仲居さんに「牛鍋」と「すきやき」の違いについて聞いたけれども、少し酔っていたのでその「説明」がよく解らなかった。曰く、「すきやきは、「焼き」ますし「牛鍋」は「鍋」ですし...」と聞いて、自分の酩酊が過ぎたのかとも思ったが、以前行った末吉町の「太田なわのれん」でも確か同じような酩酊の中で、同じようなことを聞き、同じような応えを聞いたような気がして、不思議に思っている。いずれのときも気分のいい酩酊が崩れそうで、それ以上の「追求」を止めていてそのままになっているが、何か書物や資料に厳密な「定義」を求めることではその「不思議」は解決しそうにない気がして、今度行くときにも同じような酩酊の中で、同じように聞いて、同じような応えの中で考えてみようと思っている。ひょっとすると店の仲居さんもそのような客が何度でも訪れることを予想して、「謎」を「謎」のままにお客との会話に「浮かべて」いるのかも知れない、とも思った。いずれにしても熱い日本酒とほどよく口の中で交じり合う肉と野菜の「芳醇」はその「謎」とよく合っている。
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