書き込み数は4件です。 | ◀▶ |
もう三十数年前になる。新宿紀伊国屋書店前で彼女と待ち合わせていたとき、「原節子の復帰のために署名を頂けませんか」と言われ、誰のことだかわからずに拒絶したことがある。署名を求めたその中年の男性は私の反応にいかにもがっかりした様子を見せ、去っていった。そのあとデートをしていたときにもそのことが気がかりで、そのため何年かかけて彼女のことを調べることになったけれども、小津安二郎の作品の中では「理想の」女性を演じ、成瀬巳喜男の作品では「現実の」女性を演じた原節子は、ますます「謎のひと」になっている。小津の死後「突然に」引退したといわれて … [続きを読む] |
池波正太郎の「鬼平犯科帳」というと、TVでは中村吉右衛門が「定番」ということになっていて、最も「鬼平」のイメージを伝えているとして、TVが原作を読ませ原作がTV、ビデオを見させるという果てしない「鬼平現象」を続けているが、そもそも池波は吉右衛門の父親の八代目松本幸四郎(後の白鸚)をイメージして「鬼平像」を創りあげたということは「よく知られて」いる。最近CATVで先代幸四郎の「鬼平」を続けて観ていると、現在の吉右衛門が「鬼平」の長男、辰蔵役を演っていて、そのひょうきんな息子振りが今の「鬼平」の若い頃だという気にさせて、「本所の銕」とも重なり合 … [続きを読む] |
母娘で英語に来ている6歳のMちゃんは、母親がレッスンする間隣の部屋で漢字の「書き取り」をやっている。しばらく見ていると左手で器用に漢字を書いているが、左手なので書き易いらしく時々「左から右へ」の線を「右から左へ」と書いている。「もっと書き易く」するために、鉛筆を右手に持ち替えさせて線を「左から右へ」書かせると、何とか「書いている」。鉛筆だからいいけれども筆で書くときには線の流れが「逆毛」になって、書けない、だろうと思う。小学校の先生は「それでもいい」とMちゃんに言ったそうだが、母親には将来筆を使うときに困るだろうから、左で書いても … [続きを読む] |
先日長女が結婚をし、新婚旅行のモロッコから「サハラ」の砂を持ち帰ってくれた。それは思ったより細かくて、そのまま「砂時計」に使えそうな「砂」だった。砂漠の砂が美しい映画で今でも忘れられないのは「アラビアのロレンス」と「イングリッシュ・ペイシェント」だが、いずれもアメリカ映画でいわゆる「欧米人」が「砂漠」に近づく様子を描いているが、同じ近づくにしても「シェルタリング・スカイ」ではもっと「近づいて」いて、砂漠に「のめりこんで」いく「悪夢」を描いている。遠く日本から、砂漠を「美しいもの」と「想う」と同時に、「妖しさ」を想わないではいら … [続きを読む] |
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