阿佐田哲也によれば、「十四勝一敗の選手を、一勝十四敗にすることは、それほどむずかしくないんだ。ところが、誰とやっても九勝六敗、という選手を、一勝十四敗にすることは、これはもう至難の技だね。」だそうで、つまりはいつも「九勝六敗」の選手が「最も強い」とのこと。博打の「上位」レベルの話である。決められた期間(時間)にたまたま運がよくて勝ち続けるということは、普段の生活でもよくあることで「瞬時」の幸運は私たちに無上の「慶び」と「自信」を齎してくれるけれども、長続きはしない。それは、私たちの日常は特に「期間」を決められているわけではなくて、「延々」と続くものだから落ち着いて振り返ってみれば、「九勝六敗」はおろか「二勝十三敗」がいいところではないか、と「勝負」に置き換えてみればいえるかも知れない。しかし、私の心の中などでは「幸福」が「勝ち負け」とつながっていると思ったことなど一度もなくて、「他人」がいうからひととき「満足」しただけだ、と思ったりするのは間違いだろうか。いつから、ひとはゲームの「勝ち負け」を人生や生活に「応用する」ようになったのだろうか。応用するのは勝手だけれども、せめてその「勝ち負け」が「上位」レベルであるかどうかにはこだわってもいい、ような気がする。
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