アレックス・シアラー著の小説、”チョコレート・アンダーグラウンド” (原題:Bootleg)を何の気なしに読み返していた時、ふとある事に気付いた。 本小説のあらすじは、”人々の健康の為”という名目のもと、新政府発行の 行政命令によってチョコレートをはじめとしたあらゆる甘味やら娯楽やらが 禁止されてしまい、これに納得のいかないチョコレートを愛する二人の少年が、 チョコレートを取り戻すために立ち上がる、と言う物なのだが、 この作中の世界観が、行政命令によって行動制限や営業自粛がなされた、 コロナ渦における世界情勢のそれとまさしく酷似していたのである。 シアラー氏がコロナ渦とそれに伴う情勢を予見していたとは思わないが、 現実は時として稀有であり、よもやこんな形で自分でも全く気付かないうちに 小説の世界観の鱗片を味わってしまっていたとは。どうせ小説の世界観に 浸るのであれば、あんな忌まわしい物としてではなく、それこそ チョコレートのように甘美な物の方がずっと良かったのだが。
・・・それにしても、小説の方は面白かったのに、アニメ版の方は最早殆ど 別物であり、小説では最後まで書かれなかった”新政府”がチョコレート等を 禁止した明確な理由(”新政府”と健康食品会社の癒着関係)が描かれていたのは 良かったが、それ以外は何がどうしてああなってしまったのか・・・;
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