かつての「よど号事件」で超法規的処置と言い訳しつつ赤軍のテロに屈し、世界中の失笑を買ったわが国だが、なんでも情に訴えたがるマスコミの存在もその一因ではなかったか。「法」は、国の舵取りでもっとも重要な理を代表する存在であろうが、その運営に際しては、情で判断を曲げることがってはならないはずだ。しかしどうも情が勝る場面が多い。日本人的な感性に照らすと、理は冷たく、情は温かいものだから、非人道的な理ではなく、ここはひとつ情で判断しませんか？といった論調が尊重されるのだろうか。

　不法滞在の両親がフィリピンに強制送還され、一人娘だけ日

「殺さないで」というショッキングなタイトルの本がある。副題に～幼児虐待という犯罪～とあることからもわかるように、自らの子供を虐待し、死に至らしめる愚かな親を告発する。1998年から始まった毎日新聞社会部の同名の連載企画を書籍化したものだ。

昨年、たまたま近くの古書店で手にして読んだ本なのだが、このところ相次いでいる児童虐待報道を見て、ふっと思い出し、本棚から取り出し手にとって見た。今から10数年前の企画。ということは、状況はあれから何も変わっていないのだ。「可愛くない」「自分に似ていない」「自分が遊ぶのに邪魔だから」・・・そんなくだら