4日付の朝日新聞横浜版に掲載された記事によれば、07年4~12月に孤独死した65歳以上の老人が130人(市の健康福祉局調べ)にものぼるという。7割が男性というが、その背景にはちょっと悲しい現実が垣間見える。一般には夫婦という単位で考えると、平均年齢が短くて年長の男性が先に逝くのが普通である。後に残った女性は、寡婦として余生を送ることになる。だから、孤独死の多くが女性というのならわかる。しかし男性だということは、妻に先立たれて一人になった夫が子供や親族に看取られることなく、ひっそりと息を引き取る光景が見えてくる。夫に先立たれた妻は案外さばさばして残りの人生を楽しむのに対し、男が遺されるとからきし意気地がないというが、それを裏付けるようなデータではある。哀しい。
全体の2割は死後8日以上が経過しており、2ヶ月以上も発見されなかった例も1件あったという。孤独を解消するのは日頃からの人付き合いだ。高齢になって家族という人間関係の基盤がなくなったら、それを補うのがご近所。周囲がちょっと気をつければ、孤独死は防げるのではないだろうか。孤独死とまでいかず、日頃の暮らしでも一人っぽちは寂しい。高齢者の孤独の兆候として、「姿が見えない」「新聞が溜まっている」などが挙げられている。近所の視線が大事なのだ。さらには本人が周囲に向けてコミュニケーションをとろうとする発想を持つことも重要だ。孤独死は、中、南、鶴見、神奈川といった古い住宅街ほど多いのだという。だからこそ地域コミュニケーションをバーチャルの中で構築できれば、現実の住環境やエリアに関係なく触れ合うことはできる。こんなところにも地域SNSが果たす役割は大きい。ハマっちの平均年齢はかなり若い。でも今後は、高齢者に向けて門戸を開くことこそ大事な活動になるのではないだろうか。そのためにも使い方をわかりやすく伝える努力、PCや携帯などITデバイスを気軽に使える環境を提供することにしっかり取り組んでいこう。
横浜市内の一人暮らし老人は、00年が7万4千人だったのに対して、05年には9万8千人となり、増加傾向にあるという。こうした現状をふまえて、市では08年から高齢者の集うサロン開設や住民のつなぎ役となるコーディネーター配置など、地域のつながり再構築に向けたアクションプランを進めようとしている。高齢健康福祉課担当者も「孤独死の背景にはひとり暮らしの増加があり、地域のネットワークを強化することで防止したい」と語っている。ハマっちに集う我々にもできることはたくさんあるはずだ。