(1) 教材が整理・共有されている。 (もともと、教材作りに定評があった学校だ。)
教材が、「パズル系」 、「操作系」、 「認知系」 に分類されていて、 太田ステージの各ステージとも対応させてあり、 どのクラスが、今、借り出しているかも、付箋を貼ることでわかるようになっている。
(「自閉症」 と背表紙にラベルが貼ってあるファイルもあった。)
(2) パネルシアターも数が揃っている。
公開された授業は、すべてが (多分)、
メインティーチャーが椅子に座り、 1mぐらい離れて椅子に座っている子ども達に、
・絵本の読み聞かせ ・パネルシアターのボード大のホワイトボードに 教師がカードを貼って、 子ども達に、カードを貼らせたり、読ませたり、 そのカードに関連したことを話させたり、
という形をとっていた。
つまり、
(A) 教師の目線の高さ (B) 教師と子ども達の距離
が、子ども達が注目しやすいように環境設定されていた。 (それも、すべてのクラスでだ。)
これは、
『 自閉症教育の実践研究 』 明治図書 2010年2月号 2010/1/19 発売 マナー・エチケット・ルールを育てる効果的支援 http://www.meijitosho.co.jp/zasshi/shosai.html?bango=25008
の39ページに、神奈川の先生が書いている
「ポイント2: 「子どもの目線の高さ」 で見せて話す」 そのものと言っていい。
さらに、学校全体の研究研修の中で、
子どもが本当にわかる教師の声の大きさ、 言葉の数 (2語文、3語文・・・)
が必要最低限に抑えられていた。 (それも、全てのクラスでだ。)
これも、前掲の雑誌の39ページに、神奈川の先生が書いている
「ポイント1: 教師のことばをけずる」 そのものだ。
当然、この学校の先生達は、
前掲の雑誌の39ページに、神奈川の先生が書いている
「ポイント3: 「やってみせ、させてみせ、ほめる」 」 もしっかりされていた。
全てのクラスで、 (全ての先生が、)
・ 「教師のことばをけずる」 ・ 「子どもの目線の高さ」 で見せて話す ・ 「やってみせ、させてみせ、ほめる」
といった教師にできる、こどもにとってのわかりやすい環境設定はとてもよくできていた。 (教師自体が環境だから、教師にしか変えようがない、)
しかし、校長先生が、12:30からの全体会で
「学校は、学力をつけるところだ。」 はいただけなかった。
校長が、こういう考えだから、教師達が、スキルを教えない。
・トイレへ走っていく子どもがいる。 ・ゴミ箱をもって大きなゴミ箱へ捨てに行った子ども二人が 廊下を追いかけっこをして走っている。 ・上履きを履いたまま、ズボンを脱いだり、履いたりしている子どもがいる。 ・脱いだ衣服を畳まずに、着替え用の布袋に入れたり、カバンに衣類をくしゃくしゃのまま 入れたりする。 ・ムーブメントの安藤正紀 氏に教えてもらっていながら、椅子に座ってズボンを 履く子どもがいる。 (安藤氏ならこう言うはずだ。 「バランスをとれるように、靴やズボンは立って履かせろ!」と。)
要するに、学校は、「学力とスキルを教えるところ」 なのだ。
それと、 教科の授業だけでは、やはり、 「 自己統制 」 の力はつけられていないとも感じた。
「スケジュールが理解できる」 のと、 「実際に行動できる」 のとは別問題なのだということだ。
スケジュールで、帰りの会が終わったら、ママの迎えが理解できたとしよう。 しかし、帰りの会が終わるのを待てなくて、 教師の腕をクレーンで持って、オルガンのところへ連れて行く。 (帰りの会の歌が終われば、帰りの会が終わりだという場合)
しかし、そんな、子どものわがままを教師が聞くわけがないので、 子どもは、思い通りにならなくて、教師の両方の二の腕を思いっきりつねる。
このような 「自己統制」 の弱さは、 教科の授業では改善できないと、わたしは考えている。 改善できる場面は、
廊下を一緒に歩く指導、トイレ指導、着替え指導、給食指導、 配膳指導、廊下の雑巾がけ指導、もじ・かずの教科指導、
などの何分かの連続した時間で行われる個別指導の場面以外にないと思っている。
できれば、毎日、連続30分間のお手伝い が学校で指導できればベストだと考えている。
それから、自閉症児によくある 「目の合いにくさ」 の改善も、 これに特化した指導をすべきだと思う。 (要するに、感覚統合プログラムをするのである。)
Ⅰ) HACプログラム
自閉症児の家庭療育-HACプログラム- http://homepage2.nifty.com/hac2001/
Ⅱ) RDIプログラム のレベル1 課題
023。 RDIプログラム http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=59248
Ⅲ) 「あいさつ」 を子どもが目を合わせてくるのを待ってする。 (これを毎日、何回もする。)
自閉症児の子どもの目線は、目の高さよりも下にあることが多い。 だから、教師や親は、子どもの目線よりも下に顔をおいて、 30秒~1分待つ。そうすると、子どもが目を合わせてくる瞬間が必ずある。 そのタイミングで言葉がけをするのである。 (横山浩之Dr. )
坂爪 一幸 氏や、齊籐 宇開 氏のような研究者よりも、 (養護学校の子どもを社会に送り出した経験のないという意味で、)
上岡 一世 氏 のような、 養護学校の現場で、子ども達を教え、育てて社会に送り出した、 しっかりとした実績のある人の話をもっと聞いたほうがいいのではないかと思う。
坂爪 一幸 氏や、齊籐 宇開 氏のような新しい? 考え方が出てくる前には、 自閉症児や知的障がい児が、きちんと教育されていなかったか?というと、 そんなことは、まったくないからである。
上岡 一世 氏の 『 障害児教育双書3 自閉症児のY君が就職するまで 』 明治図書 1986/2/1 4版 http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?ban…8-002704-6
は絶版だが、市立の図書館などに置いているところが必ずあるから、 是非、読んでもらいたいものだ。
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