10年ほど前、 養護学校 ( 知的 ) の中学部や高等部の生徒で、 立位姿勢が、気になる生徒が何人かいた。
立っていると、10秒程度だが、自分の足の上に、足を乗せて立つ、 のである。 これは、片足立ち? それとも、両足立ち? なのだろうか?
この生徒Aくんは、わずか1分の間に、こんなに足の位置を動かしているのである。
0秒 9秒後 48秒後 57秒後 片足を上げて 床に足を降ろそうとしている
やはり、10秒程度だが、この生徒Bくんも、自分の足の上に、足を乗せて立つ。 これは、片足立ち? それとも、両足立ち? なのだろうか?
この生徒Bくんは、足をそろえて立っていることができているが、 時々、10秒程度だが、自分の足の上に、足を乗せて立つのである。
0秒 10秒後 20秒後
壁に肩でもたれたり、手で壁にもたれたりするときに、 片足立ちになっていることも、少なくない。
壁にもたれるBくん ロッカーに手をかけて立つCくん
いずれにしても、 じっと立っている姿勢を続けるのが難しいらしいと考えられるのだが、 なぜ、自分の足の上に、足を乗せて立つのであろうか?
Aくん Bくん
これらのAくん、Bくん、Cくんは、いずれも、 右足を軸足にして立っていることが多い。
( Aくんについては、壁にもたれかかったりする時には、 左足が軸足のときもなくはないのを確認している。 つまり、左足の上に、右足を10秒程度、乗せることがある。 )
おそらく、キーワードは、バランス、重心、軸足ではないかと思う。
わたしも、足の上に足を乗せて立ってみた。 どちらの足のほうがやりやすいかというと、 右足の上に、左足を乗せるほうが楽にできた。
つまり、養護学校 ( 知的 ) の生徒も、わたしも 右足を軸足にしたほうが、やりやすいようだ、ということだ。
ところが、 わたしは、立位で休めをする時は、 軸足を左足にして、右足を斜め前に出す。
これは、Aくんの 「 48秒後 」 の姿勢が、 右足を軸足にして、左足を斜め前に出しているのと対照的である。
一つの仮定として、 Aくんは、 立位でのバランスは、ほとんどいつでも、右足を軸にしてとっているのではないか、 と考えられそうである。
おそらく、Bくん、Cくんについても、同様に、立位でのバランスを、 ほとんどいつでも、右足を軸にしてとっているのではないか、と考えられそうである。
まず、わたしが、 立位での軸足を ( 休め、回れ右・・・ ) 左足にしている理由と考えられるものに、
哲ちゃん幸ちゃんの運動生理学 ~ 2008年優秀論文大賞 『 体の特質を活かした右打者・左打者、右投手・左投手の違い 』 ~ http://sakkou.fc2web.com/ronbun/2008_silver2.htm > それは肝臓の位置だ。肝臓は1.0~2.5kgと体の中では > 脳の次に二番目に重い。その肝臓が右にある。 > そのためバランスをとろうとして左に体重を掛ける。
> これは右利き、左利きに関係なく左重心のため、 > 右より左に体重を乗せやすい。 > 例えば 「 気をつけ 」 「 休め 」 の動作を行うとき、 > 移動させやすいのは右足だ。つまり、右足を自由に動かすために左足が存在する。
がある。 興味深い説である。
次に、Aくん、Bくんが、立位でじっと立っていられなくて、 足の位置をころころ変えることについては、
東京都江戸川区平井駅 ひらい整骨院・鍼灸院 リハビリテーション学 総括 1 http://www.hone.co.jp/new_main/student/hira_pdf/rih…df#page=11 > *小児の重心の位置は相対的に高位にあり、立位姿勢の保持が不安定
> ④ 質量が大きいほど安定性が良い
まだ、小児だった頃の、立位姿勢の保持が不安定だった時に、 足の位置をころころ変えていたことが、中学部、高等部の年代になっても 残っているのではないか、というかことが1つ。
もう一つは、Aくん、Bくんは、どちらもやせているのである。 これが、重心が安定しなくて、足の位置をころころかえているのではないか、 と考えたくさせるのである。
自分の足の上に、足を乗せて立つことについては、 感覚統合の視点で考えると 前庭覚に、平衡感覚の自己刺激を自分で入れるなどの 意味合いも考えられるのかもしれない。
あと、本件とは、関連はなさそうだが、 興味深い論文として、つぎのものもあった。
動作法による立位踏み締め感の変化と心理的体験の変化 http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/lib/klib/kiyo/hum/h…/h2709.pdf
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