『 「AさせたいならBさせる」 授業づくり【3】 』 (大場繁實 編、明治図書 1992.2)
の 「腕時計をはずす理由」 という実践で京屋 敦氏が次のように書いている。
≫ 子供たちと接するときは腕時計をはずし、ズボンのポケットに入れておく。
遊びや指導で、子どもたちあるいは、施設なら利用者さんと直接触れる機会の多い
先生や指導員としては当然、常に心がけたい配慮である。
以下は、施設で働いている友人から10年くらい前に聞いた話である。
≫ わたしの現在勤務している県立施設では、
≫ 職員は全員ピンで止める名札をつけているが、
≫ ある時、部屋のテーブルなどに置かれているものを、
≫ 片っ端から払い落としている利用者さんを
≫ 制止しようとして体をホールドしたことがあった。
≫ そのときに、この名札が外れてその利用者さんの髪の毛の上に落ちた。
≫ 幸いピンが刺さるというようなことはなかったが、それ以来、
≫ 利用者さんと接するときには、名札もはずすようにしている。
≫ また、当施設では、利用者さんの寮の居室、寮の食堂、
≫ 寮の職員室、寮の出入り口・・・と
≫ いたるところが施錠されている。
≫ 鍵は使ったら、そのたびにこまめにポケットに入れる。
≫ 利用者さんの活動の様子をボールペンでメモをとっていたり、
≫ 作業課題などの準備のためにハサミを使っているときに、
≫ 牛乳パックはがしやボールペンの組み立てなどの作業をしている利用者さんが、
≫ 『○○が足りない』という意味のことばや、
≫ ことばのない人なら、支援職員の手を持って自分のワークエリアまで
≫ 連れて行く【クレーン現象】とよばれる行動などで要求を伝えてくることがある。
≫ ボールペンやはさみなど手に持っているものを置いてから、
≫ カメラなど首にかけているもの、身につけている物をはずしてから、
≫ 対応する。 (もちろん、他の利用者さんが触れないようなところに置く。)
こんな当たりまえのことが案外できていないものである。
利用者さんの発作や、突発的な動きなどに、反射的に反応する場面が
ないわけではないので常に気をつけていたい。